衛星の目でインフラを守る 和歌山県とJAXAが新たな連携
和歌山県と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、同機構が運用する最新鋭の地球観測衛星「だいち4号」が取得したデータを活用し、県内の道路やのり面などの補修リスクを把握する実証実験の検討を開始したと発表しました。2026年度にも実験を開始し、山間部を中心に広範囲のインフラ(社会基盤)管理に生かしたい考えです。
最新鋭衛星「だいち4号」の特徴
2024年に打ち上げられた「だいち4号」は、レーダー観測機器を搭載しているのが大きな特徴です。光学衛星とは異なり、雲に遮られる悪天候時や夜間でも数センチレベルの地表の隆起といった微妙な変化を把握することが可能で、地震後の異常検知など防災・減災面での活用が期待されています。
具体的な実証実験の内容
今回の取り組みでは、県とJAXAが共同で人工衛星のデータや画像を道路などの保全に活用できないか検討を進めます。だいち4号が取得したデータを基に、ダムの貯水池周辺や道路近くののり面の経年劣化などを継続的に監視し、決壊や崩壊のリスク把握を実証実験を通じて行う計画です。
さらに、県内の約4分の3を占める森林についても、山間部の森林管理や資源量の詳細な把握を、だいち4号を介して実現できないか検証する方針です。
関係者の期待とコメント
県成長産業推進課の担当者は「山間部を全て人的に見回るのは物理的に難しく、衛星の活用で人件費や改修費を抑えられる可能性があります。人の目では気付けないリスクや資源も明らかになるかもしれません」と期待を寄せています。
県は昨年8月に策定した「宇宙アクションプラン」で、2040年を目標として県南部を中心に、ロケットや衛星の部品メーカーを集積させるほか、衛星データの活用推進を掲げています。
宮崎知事は「県内の特色を組み合わせた衛星データの活用は、インフラの予防保全に加えて宇宙産業の振興にも生かせます」と述べ、JAXAの瀧口太理事は「和歌山との連携で得られる成果は、衛星利用の拡大に資するものだ」とそれぞれコメントしました。
実証実験の意義と展望
この実証実験が成功すれば、従来の目視点検に比べて効率的なインフラ管理が可能となり、特に広大な山間部を持つ和歌山県にとっては画期的な手法となる見込みです。衛星データを活用した予防保全は、災害リスクの低減だけでなく、長期的な維持管理コストの削減にもつながると期待されています。
また、森林資源の詳細な把握が実現すれば、持続可能な林業経営や環境保全にも貢献できる可能性があります。和歌山県とJAXAの連携は、地域の課題解決と宇宙技術の実用化を同時に推進するモデルケースとして注目を集めそうです。
