「海洋強国」を掲げる中国は、圧倒的な海軍力を背景に、南シナ海や台湾周辺だけでなく、西太平洋でも軍事訓練を常態化させている。このまま放置すれば、日本の領土、領海、そして海洋権益が脅かされる恐れがある。自衛隊は硫黄島を拠点に西太平洋の警戒監視体制を強化し、守りを固める必要がある。
中国空母「遼寧」の訓練実態
防衛省の発表によれば、中国海軍の空母「遼寧」は5月下旬、最新鋭のミサイル駆逐艦などと共に、沖ノ鳥島の南西海域で軍事訓練を実施した。この訓練では、空母艦載機の発着訓練などが行われたとみられる。また、複数の中国艦艇は沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過してこの海域に向かった。
訓練は公海上で行われ、宮古海峡も艦船の自由な航行が認められている海域であるため、これらの活動は国際法上、違法性は見当たらない。しかし、空母を中心とした西太平洋での訓練は、2016年に確認されて以来、今回で22回目となる。中国が西太平洋を自らの影響下に置く狙いを持っていることは明らかだ。
沖ノ鳥島と南鳥島の重要性
日本の最南端に位置する沖ノ鳥島は、領海の基点となる領土であり、広大な排他的経済水域(EEZ)の基点でもある。中国はこの島を「岩にすぎない」と主張し、日本の領土であることを認めず、周辺の海洋権益を自国のものにしようとしているとみられる。また、南鳥島沖の海底には大量のレアアース(希土類)の存在が確認されており、その警戒も怠れない。
硫黄島の基地機能強化が急務
これらの権益を守るためには、自衛隊の拠点である硫黄島を中心に対処力を強化する必要がある。しかし、現在硫黄島には約400人の隊員が警戒監視にあたっているに過ぎない。大型艦艇が接岸できる港湾がないため、十分な燃料などの確保が困難であり、戦闘機も未配備の状態が続いている。
硫黄島のインフラを整備し、基地機能を強化することは急務である。また、他の島も含め、上空を監視するレーダーの配備も急ぐべきだ。
中国の「新型軍国主義」批判への反論
中国政府は国際会議や各国との会談の場で、高市政権を「新型軍国主義」と批判している。しかし、軍備を大幅に増強し、力による一方的な現状変更を試みているのは中国自身である。小泉防衛相がシンガポールで開かれたアジア安全保障会議で「核兵器や戦略爆撃機を持つ国が、そのいずれも持たない国を軍国主義だと呼んでいるのはおかしい」と反論したのは当然のことであろう。



