ホルムズ海峡封鎖で食卓に危機?ナフサ不足がバナナやガムに影響の可能性
原油から精製されるナフサの不足は、食品の製造にも広範囲な影響を及ぼす可能性がある。包装資材だけでなく、輸入果物の追熟や食品添加物など、ナフサ由来の原料が欠かせないためだ。ホルムズ海峡の事実上の封鎖が長期化すれば、さまざまな食品の調達が不安定になり、値上げ圧力が高まる恐れがある。
バナナの追熟に不可欠なエチレンガス
東京都江東区にあるバナナ加工施設「ファーマインド青海センター」では、輸入バナナを専用の部屋に保管し、エチレンガスを注入して追熟させている。バナナは検疫上の規定により緑色の状態で輸入され、約1週間かけて黄色く甘い状態に仕上げられる。このエチレンガスはナフサ由来であり、代替が難しい。
日本バナナ輸入組合によると、今年3月末にはナフサの供給不安からエチレンガスが一時的に不足した。明石英次事務局長は「上流の業者から『供給が絞られている』と連絡があった」と述べ、経済産業省に安定供給を要請した。現在は供給が安定しているが、「問題が長期化すれば入ってこなくなるかもしれない」と懸念する。昨年のバナナ輸入量は約106万トンで、国産の18トンとは桁違いだ。明石氏は「バナナは国内の果物購買量の3割を占める。ナフサがなくなれば日本の食卓は大変だ」と警鐘を鳴らす。
食品添加物やガムへの影響
香料や着色料などの食品添加物にも、安全性が確認されたナフサ由来の原料が使われている。果物のような香りを付けるエステル類、バニラの香りの「バニリン」、かき氷シロップに使われる着色料「食用赤色2号」など、幅広い製品に利用されている。
菓子メーカーの明治の担当者は「使用量は少なく、主原料や包装資材と比べれば製造原価への影響は少ない」としながらも、「事態が長引けば供給不安が生じる可能性はある」と話す。ロッテや森永製菓も情報収集に努めている。ガムの歯ごたえを出すために必要な酢酸ビニール樹脂やポリイソブチレンもナフサ由来であり、日本チューインガム協会は「現時点では供給の滞りや急激な値上がりはない」としている。
一方、日本香料工業会の担当者は「影響が表面化するのは時間の問題ではないか」と危機感を強める。バニリンは中国やインドなど海外での製造が中心であり、「日本向けの輸出が絞られるかもしれない」と懸念。中東原産の天然香料も品薄になる可能性があると指摘する。
ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、私たちの食卓に思わぬ形で影響が及ぶ可能性がある。関係各所は今後の動向を注視している。



