ランドセル商戦、今年の注目は「金」と「銀」のメタリックカラー
2026年6月、来年春に小学校へ入学する子どもたちを対象としたランドセル商戦が本格的な盛り上がりを見せている。いわゆる「ラン活」と呼ばれる活動の中で、子どもの個性を重視する傾向が年々強まっており、ランドセルの色やデザインの選択肢は拡大の一途をたどっている。今年は特に、金色や銀色を中心としたメタリックカラーが際立ち、特別感を求める家庭から支持を集めている。
大阪市北区にある阪急百貨店梅田本店では、約100種類ものランドセルを展開。水色や淡い紫、ピンクなど多彩な色が並ぶ中、金色や銀色のメタリックカラーがひときわ目を引く。同店の担当者によると、今年は男児のいる家庭の約2割がメタリック系を選択しているという。かつては男児が赤、女児が黒を選ぶケースも見られたが、売り場責任者の松村小登美さんは「子ども自身が純粋に好きな色を選ぶケースが増えている」と分析する。
実際、岡山市から訪れた36歳の会社員女性は、来春入学予定の長女(5歳)とともに来店。「派手すぎない色が良いが、6年間使うので最終的には本人に任せたい」と話す。長女は「ラメの入った紫色のランドセルがかわいい」と笑顔で語った。
デザインの多様化が進むランドセル市場
大丸神戸店(神戸市中央区)では、メタリック系に加え、ふたに花柄の刺しゅうを施した商品や、猫の耳を模した飾りが付いた個性的なランドセルを取り揃えている。担当者は「子ども自身に選ばせる家庭が増えるにつれ、目立つデザインの需要が高まっている」と説明する。こうした傾向は、少子化により一人の子どもにかけられる予算が増え、より高価格帯の商品が選ばれやすくなっていることとも関連している。
平均購入額は上昇傾向、ナフサ不足が価格に影響も
日本鞄協会ランドセル工業会(東京)の調査によると、2026年4月に入学した小学生のランドセル平均購入額は6万2034円で、2018年と比較して1万円以上上昇した。少子化の進行により、家庭が子ども一人に費やす金額が増え、高価格帯の商品が選ばれる傾向が続いている。
しかし、中東情勢の緊迫化が新たな懸念材料となっている。化学メーカーのクラレは、ナフサ(粗製ガソリン)の調達が困難になっていることを受け、人工皮革「クラリーノ」を4月出荷分から10%以上値上げした。この影響は来春以降のランドセル価格に反映される可能性が高い。
ある百貨店の担当者は「さらなる価格上昇を懸念し、『再来年春に入学するが、今年購入できるか』という問い合わせが相次いでいる」と明かす。消費者は値上がりを見越して早期購入を検討しているようだ。
価格上昇の影響は限定的か、専門家の見解
ニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は、ランドセル価格の上昇が消費に与える影響について「ランドセルは6年間使用するうえ、祖父母からのプレゼントを含む記念品的性格が強いため、価格上昇が需要そのものに与える影響は限定的だろう」と分析。その一方で、「物価高もあり、日常的な支出を抑える家庭が増えるのではないか」と指摘し、家計全体への波及効果を懸念した。
ランドセル市場は、子どもの個性を尊重する流れと価格上昇の圧力が交錯する中、今後も変化を続けそうだ。



