円相場が一時159円台に下落 地政学リスクで有事のドル買いが優勢に
2026年3月12日、東京外国為替市場において円相場は対米ドルで急落し、一時的に約2カ月ぶりの円安ドル高水準となる1ドル=159円台前半を付けた。この下落は、中東情勢を巡る地政学リスクの高まりを背景に、投資家が資産を基軸通貨である米ドルに移す「有事のドル買い」が市場で優勢となったことが主な要因である。
トリプル安の展開で市場が混乱
東京市場では、為替に加えて株式と債券も同時に売られるトリプル安の展開が見られた。円相場の午後5時現在は、前日比56銭の円安ドル高となる1ドル=158円78~81銭で取引を終えた。一方、ユーロ対円は38銭の円高ユーロ安で、1ユーロ=183円43~47銭となっている。
外為市場では、原油価格の上昇が、エネルギーの大半を輸入に依存する日本の貿易赤字拡大につながるとの見方が広がった。これに伴い、決済に必要なドルの需要が高まると予想し、先回りする形での円売りドル買いも活発化した。
市場関係者の見解と政府・日銀の動向
市場関係者は、「政府・日本銀行による為替介入への警戒感も強まっており、円は安値圏で売り買いが交錯する複雑な動きを見せている」と指摘した。このような状況下で、投資家の心理は慎重さを増し、短期的な変動に敏感に反応している様子がうかがえる。
株式市場では、日経平均株価が前日比572円41銭安の5万4452円96銭で終了し、大幅な下落を記録した。さらに、国債市場においても、長期金利の指標である新発10年債の終値利回りが2.180%に上昇し、債券価格の下落を示している。
今後の展望とリスク要因
今回の円安ドル高の動きは、中東情勢の先行き不透明さに加え、世界的なエネルギー価格の高騰が日本の経済に与える影響への懸念が背景にある。市場では、以下の点が今後の相場を左右する重要な要素として注目されている。
- 地政学リスクのさらなる高まりや緩和の動向
- 政府・日銀の為替介入の可能性とその効果
- 原油価格の変動が貿易収支に与える影響
- 国際的な金融政策の動きと投資家のリスク選好度の変化
全体として、円相場の下落は短期的な調整に留まるか、あるいは長期的なトレンドに発展するかが不透明な状況であり、市場関係者は今後のデータや国際情勢の進展を注視している。



