自動車部品メーカーが金型管理の「カイゼン」に本腰 廃棄推進とノウハウ伝授で業界課題に挑む
自動車部品メーカーが、膨大な金型の管理に頭を悩ませる業界共通の課題に、積極的な「カイゼン」で立ち向かっている。金型は製品の品質を左右する「マザーツール」とも呼ばれる重要な要素だが、その種類と数は膨大で、効率的な管理が長年の課題となっていた。
独自検索システムで管理効率を大幅向上
トヨタ自動車グループなどと取引があるイノアックコーポレーション(名古屋市)は、車の内装や外装部品を手がける企業だ。同社では、例えば車のヘッドレストだけでも約1千個もの金型が必要となる。この膨大な金型を管理するために、独自に構築した検索システムを活用している。
このシステムでは、部品の種類と金型、保管場所などを詳細にひもづけ、必要な情報を迅速に把握できるように設計されている。特に注目すべきは、量産終了後の経過年数や実際に金型が必要となった頻度も把握できる点だ。
戦略的な廃棄で在庫圧縮に成功
金型は、現在生産中の車種だけでなく、量産が終了した後も修理や車検時の部品交換が必要となる場合があるため、一定期間の保管が義務付けられている。しかし、無制限な保管はコストとスペースの面で大きな負担となる。
イノアックコーポレーションでは、自動車メーカー側が設定する条件を慎重に確認しながら、戦略的な金型の廃棄を推進。この取り組みにより、現在の金型在庫は10万個弱に抑えられており、廃棄を行わなかった場合には12万個ほどに膨らんでいたと推定されている。
業界全体へのノウハウ伝授を計画
同社の金型管理改善への取り組みは、単なる自社の効率化にとどまらない。得られた知見とノウハウを業界全体に伝授することで、自動車部品製造業界全体の生産性向上を目指している。
自動車1台には約3万点の部品が使用されており、それぞれの部品製造に金型が欠かせない。このため、金型管理の効率化は、業界全体の競争力強化につながる重要な課題となっている。
イノアックコーポレーションの佐藤龍也氏は「金型管理の改善は、単なるコスト削減ではなく、持続可能な製造業を実現するための基盤整備だと考えている」と語る。同社の取り組みは、伝統的な製造業がデジタル技術と改善活動を組み合わせて新たな価値を創造する好事例として注目されている。



