岡山・児島発「ジャパンデニム」、世界で認められる理由とは
古くから繊維産業が盛んな岡山県倉敷市児島地区は、世界的に注目される「ジャパンデニム」ブランドの主要生産地として知られています。特に、ジャパンブルーが展開するブランド「桃太郎ジーンズ」は、3万円以上の高価格帯でありながら、訪日外国人観光客が列をなして購入するほどの人気を誇ります。2026年6月にはパリに期間限定店をオープンし、本格的な海外展開を目指しています。ジャパンデニムの魅力はどこにあるのでしょうか。同社の鈴木完尚取締役兼最高執行責任者(COO)に話を伺いました。
最新技術や合理性では表現できない特徴
――岡山・児島発のジャパンデニムが世界で注目されている理由は何でしょうか。
「日本で初めてデニム、ジーンズが作られたのは、岡山県倉敷市にある児島地区です。繊維業で培われたこの地域固有の技術力を活かし、真摯に作り続けられてきた結果、品質が保証されたことで、岡山・児島は世界から『ジーンズの聖地』と呼ばれるようになりました。デニムはもともと日本に歴史的な文脈がないものですが、それが日本製品として認知されるのは不思議なことです。戦後の日本復興にあたり、欧米の技術を取り入れ、繊維産業が成熟していった背景があります」
――なぜ世界から高く評価されているのでしょうか。
「欧米の繊維業やデニム産業が合理化へと進む一方で、本質的な古き良きデニムを作れるのは日本だけになりました。合理性は生産効率を高める素晴らしいものですが、ユーザーにとって必ずしも素晴らしいとは限りません。弊社で使用している織機は戦後間もない当時のもので、生地を均一に織ることはできませんが、この織機でしか表現できない独特の生地を織ることができます。革新的技術では表現できない、履き込むほどに味が出る、経年変化を楽しめるデニムとなります。世界から評価されているのは、こうした偶然から生まれたものだと考えています」
ジャパンブルーでは、昔ながらの機織り機を使用してデニム生地を織っています。
愛好家が注目するデニムのポイント
――デニム愛好家はどのような点に着目しているのでしょうか。
「外観だけでは良さが分からず、実際に着用していただいて初めてジャパンデニムの良さを認識していただけます。弊社の主力ブランド『桃太郎ジーンズ』は、多くの他社製品とは異なり、一切加工を施していないのが特徴です。生地の縦糸と横糸をさまざまに組み合わせており、1か月履いて洗濯すると、色の落ち方や表情が他のものとは全く違います。長期間の着用を想定してデニムを『育てる』ことを考えた細かな設計は、ジャパンデニムにしかできない大きな特徴です」
ジャパンデニムの魅力を発信するパリ出店
――6月にパリに初の単独店舗を期間限定でオープンするとのことですが、その狙いは。
「桃太郎ジーンズには、売り上げの約8割を訪日客が占める国内店舗もあります。このジーンズのような3万円超の高価格帯デニムは、海外の方が市場が拡大しています。パリはファッションの世界では首都であり、6月はファッションウイークのタイミングにも重なります。日本人が持つ空気感や時代感、美意識、余白を伝えられる店舗を構え、世界のファッションバイヤーに日本のデニムの魅力を伝えたいと考えています。不安もありますが、楽しみでもあります」
日本デニムで世界一を目指し、旧式機械でゆっくりと織られる本物のデニム。その魅力は、これからも世界中のファンを魅了し続けることでしょう。



