福島市の飯坂温泉で、温泉街全体を一定料金で回遊できる新たな取り組みが始まる。旅館のチェックイン後、お金を気にせず贅沢な旅を楽しめる画期的な試みだ。6月から試験的に開始し、秋口からの本格運用を予定している。温泉街全体を巻き込むこの挑戦は全国でも例がなく、飯坂温泉の賑わい復活への期待が高まっている。
オールインクルーシブの概要
この取り組みは、宿泊料金に食事代やドリンク代、体験料金など全てが含まれる宿泊スタイル「オールインクルーシブ」を基盤としている。全国の温泉旅館やリゾートホテルで導入が進んでいるが、関係者によると、宿泊施設だけでなくエリア全体での実施は全国的に前例がないという。
発案者と背景
発案したのは、飯坂温泉の国登録有形文化財「旧採進堂酒店」を大規模改修し、購入した酒をその場で飲める角打ちとゲストハウスの「採進堂酒店」を昨年11月にオープンさせた、イノベーションシフト社長の浪木克文さん(60)。会社社長などを経て2021年、東京から妻の実家がある福島市に移住した。魅力を持ちながらも活用されずに温泉街が衰退していく現状を憂い、新たな仕組みを考案した。
参加店舗と利用方法
浪木さんの呼びかけに応じ、旅館16軒と飲食店・菓子店24軒が参加を表明した。利用は2人以上で、旅館の素泊まり料金に加えて1人2万円前後を予定。チェックイン後、採進堂酒店でパスポートを受け取り、参加店で午後3時から10時まで回遊して飲食や体験を楽しむ。回る店舗数や注文量に制限はないが、食べ残しや飲み残し、持ち帰りは禁止。食べ歩きは可能で、参加店は利用者の伝票を採進堂酒店に送り後日精算する。
今後の展望
今後は参加店舗をさらに増やし、カヤック体験やツアーなどアクティビティーも充実させる計画。温泉街全体を旅のテーマパークとして育てる構想で、浪木さんは「地図を見てワクワクしながら回遊してもらい、旅館の中で完結するのではなく、日暮れ前から外に出て歩くようになれば温泉街が活性化する」と期待を込める。実施は金曜日と土曜日のみで、状況を見て拡大を検討する。
浪木さんは「共感してくれる方々や団体が多かった飯坂だからこそできた」と旅館や参加店の協力に感謝し、「ルールを簡単にし、インバウンドの利用や連泊も理想に掲げている。財布を気にせず飯坂温泉を満喫してほしい」とアピールしている。



