遺言作成者は10人に1人、メリットとトラブルを深掘り 「ドン・ファン」相続争いの実態
遺言作成者10人に1人、メリットとトラブルを深掘り (11.04.2026)

遺言作成者は10人に1人、そのメリットと潜在的なリスクを徹底検証

相続の際に財産の分け方を指定する遺言(ゆいごん)は、2024年に15万件が作成・活用され、亡くなった人の約1割が関わっている計算です。遺言は財産の行方を明確にできる一方で、時に家族間の争いを引き起こす「災いのタネ」となることも少なくありません。

遺言がなければ法定相続分に基づく話し合いが基本

財産の分け方について遺言が存在しない場合、民法で定められた法定相続人が話し合いによって決定することになります。その際の目安となるのが、法定相続分です。亡くなった人(被相続人)の配偶者や子供、親などの順位に応じて、それぞれが受け取るべき割合が法律で定められています。

しかし、この法定相続分に従った話し合いが常に円滑に進むとは限りません。特に不動産や貴重品など、現金以外の資産が含まれる場合、その評価や分割方法を巡って意見が対立し、長期化するケースも見られます。

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遺言のメリット:財産の行方を本人の意思で明確化

遺言を作成する最大の利点は、財産の分配を被相続人自身の意思で事前に決定できる点にあります。これにより、相続発生後の紛争を未然に防ぎ、家族間の不要な摩擦を軽減することが可能です。

また、法定相続人以外の人物や団体に財産を遺すことも法的に認められており、より柔軟な資産承継を実現できます。例えば、長年世話になった友人や、支援したいNPO法人などへの寄付を指定することもできるのです。

遺言が招くトラブル:所謂「ドン・ファン」相続争いの実態

一方で、遺言の内容が特定の相続人に極端に偏っていたり、文言が曖昧であったりする場合、却って相続人間の対立を深刻化させる危険性があります。いわゆる「ドン・ファン」的な相続争いでは、遺産を巡って兄弟姉妹が裁判に発展する事例も報告されています。

専門家は、遺言を作成する際には単に財産の配分を記すだけでなく、その理由や背景を付随文書として残すことを推奨しています。これにより、相続人が遺言者の真意を理解し、納得しやすくなる効果が期待できるからです。

シニア生活文化研究所代表理事の視点

小谷みどり氏は次のように指摘します。「遺言は、多額のお金や財産がある人が残すものだというイメージがありますが、全ての人がこの世にモノやお金を残す以上、誰に渡すかを書いておくべきだと考えます」

その理由として、多くの人々が残す価値のある相続財産は現金ではなく、土地や家屋、宝石、骨董品などの「モノ」であることが多いと説明。これらの資産は客観的な評価が難しく、感情的な価値も絡むため、事前の意思表示が特に重要だと強調しています。

自筆証書遺言の保管制度と今後の課題

法務省が導入した自筆証書遺言書の保管制度は、遺言書の偽造や紛失を防ぐための施策として注目されています。しかし、制度の認知度は依然として低く、利用が十分に広がっていないのが現状です。

今後の課題として、遺言作成に関する正しい知識の普及と、専門家による適切なアドバイスの提供が不可欠だと言えるでしょう。相続対策は、単なる資産管理ではなく、家族の未来を形作る重要な行為であることを、改めて認識する必要があります。

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