iSpace、月面着陸計画を2028年に延期 開発体制を抜本的に見直し
宇宙開発企業のiSpace(アイスペース)は3月27日、自社開発の月着陸船を用いた月面着陸計画について、目標時期を2028年に設定し直すことを正式に発表しました。これまで同社は2027年を目指すと表明していましたが、開発プロセスの見直しに伴い、計画を1年延期する方針を明らかにしました。
過去2回の失敗を教訓に 日米開発体制を統合
iSpaceはこれまで、日本と米国の拠点で別々に進めてきた二つの月着陸船の開発プロジェクトを、今回の計画変更に際して一つの新モデルに統合することを決定しました。この統合により、開発効率の向上と技術的なシナジー効果を期待しています。
新モデルは「ウルトラ」と命名され、従来の設計から大幅に改良が加えられる予定です。特に、米国企業と共同開発していた着陸船のエンジンについては、期待した性能が得られず開発が遅延していたため、今後は別の企業が開発したエンジンを調達して活用する方針です。
数十億円の追加投資を見込み 着陸計画を強化
今回の開発体制の見直しに伴い、iSpaceは数十億円規模の追加費用が必要になると見込んでいます。この投資により、月面着陸の成功率向上を目指すとともに、技術的な信頼性を高めることを計画しています。
昨年10月には、茨城県つくば市のJAXA施設において、大型月着陸船の試験機が公開されており、着実に開発が進められてきたことがうかがえます。しかし、過去2回の月面着陸挑戦ではいずれも失敗に終わっており、今回の計画延期はより確実な成功を目指した慎重な判断と言えます。
月周回人工衛星の打ち上げも計画 月面サービスを構想
月面着陸計画とは別に、iSpaceは自社開発の人工衛星を2027年にも月周回軌道に向けて打ち上げる計画を明らかにしました。この人工衛星は、地球と月の間の通信インフラとしての役割を担うとともに、衛星利用測位システム(GPS)のように月面で位置情報を把握できるサービスを提供することを目指しています。
世界各国で月探査活動が活発化する中、iSpaceは月面における持続可能な活動を支援する技術基盤の構築に注力しています。月面着陸だけでなく、月周回軌道でのサービス展開を通じて、将来の月面探査や資源開発に貢献したい考えです。
今回の計画延期は、短期的な目標の変更ではありますが、長期的な月面開発ビジョンを実現するための戦略的な調整と言えるでしょう。iSpaceは、新モデル「ウルトラ」による2028年の月面着陸成功を目指し、開発体制を強化していく方針です。



