ispaceが月面通信・測位サービスの構想を発表 2027年にも衛星投入を計画
月面探査を手掛ける宇宙ベンチャー企業のispace(アイスペース)(本社:東京)は、3月27日に新たな事業構想を明らかにしました。同社は、月面や月の周回軌道において通信と測位情報を提供する「ルナ・コネクトサービス」の開始を目指しています。具体的には、2027年にも自社開発の人工衛星を月の周回軌道へ投入し、同年度中のサービス開始を目標としています。
月面開発の進展を見据えたインフラ事業
この計画の背景には、米国のアルテミス計画をはじめとする国際的な月面開発の活発化があります。ispaceは、月面上での活動が本格化するにつれ、地球上のインターネット回線やGPS(全地球測位システム)に相当する通信・測位インフラが不可欠になると見込んでいます。同社はこれまで、着陸船を用いて月面へ物資を輸送する事業を展開してきましたが、今回の発表により、月面活動を支える基盤整備事業にも本格的に参入する姿勢を明確にしました。
ispaceの試算によれば、ルナ・コネクトサービスを含む関連市場は、2040年代には少なくとも年間4500億円規模に達すると予想されています。これは、月面探査や資源開発が進む中で、安定した通信環境と正確な位置情報の需要が急増するためです。
衛星ネットワークと地上局の整備計画
同社は、2030年までに5基以上の衛星を月周回軌道へ投入する計画を掲げています。これにより、月面の広範囲にわたって安定した通信を提供するとともに、緯度・経度・時間などの測位情報を高精度で伝達できるようにする方針です。
また、月から送信される大量のデータを受信するためには、地上局の整備が欠かせません。ispaceはこの点について、KDDIと共同で地上局の機能や月面通信のあり方を検討する基本合意書を締結しました。両社の連携により、地球と月を結ぶ通信ネットワークの構築が加速することが期待されます。
過去の失敗を教訓にした技術改善と新着陸船の発表
一方、ispaceは2025年6月に実施した月面着陸ミッションの失敗を受けて、外部専門家による提言を公表しました。提言では、着陸船が地形を認識して自らの位置を推定する航法技術の導入や、試験体制の強化、リスク管理の仕組みづくりなどが指摘されています。これらの課題に対処し、安全性と信頼性を高めることが今後の成功には不可欠です。
さらに、2028年を目標とする次の月面着陸ミッションに向けて、新型着陸船「ULTRA」も発表されました。これまで日本と米国で別々に開発を進めてきた技術を統合し、性能向上を図ったモデルとなっています。ispaceは、これらの技術的改善を通じて、月面探査における自社の競争力を強化したい考えです。
宇宙開発が新たな段階を迎える中、ispaceの取り組みは、月面での持続的な活動を支えるインフラ整備の先駆けとして注目を集めています。民間企業による宇宙事業の拡大が、今後の国際的な月面開発にどのような影響を与えるか、その動向から目が離せません。



