小型ロケット「カイロス」3号機、25日和歌山・串本町で打ち上げ 民間初の軌道投入なるか
カイロス3号機25日打ち上げ 民間初の軌道投入目指す (21.02.2026)

小型ロボット「カイロス」3号機、和歌山・串本町で25日に打ち上げへ

宇宙新興企業のスペースワン(本社・東京)は、和歌山県串本町にある自社の発射場において、小型ロボット「カイロス」3号機(全長18メートル)の打ち上げを2月25日に実施する予定です。この打ち上げは、民間企業が単独で開発したロボットとして、初めて人工衛星の軌道投入に成功する可能性を秘めており、国内宇宙開発史上の重要な節目となる見込みです。過去に2度の失敗を経験した3度目の挑戦であり、衛星を託す台湾の大学関係者をはじめ、国内外から熱い視線が注がれています。

台湾の衛星搭載、宇宙通信技術の確立に期待

カイロス3号機には、通信用などの小型衛星5基が搭載される計画です。そのうちの1基は、台湾の宇宙機関(TASA)が昨年9月の公募で選定した虎尾科技大(台湾・雲林県)の研究チームによって製作されました。チームを率いる呂文祺副教授(50歳、航空制御)によれば、5~6人の学生が中心となり、昨年12月に縦横各10センチ、高さ30センチの小型衛星を完成させたとのことです。この衛星はアマチュア無線用の通信装置を備えており、高度約500キロメートルの宇宙空間での運用を想定しています。

前回の2号機にも台湾の衛星が搭載されていましたが、軌道投入には至りませんでした。TASAの広報担当者は、「衛星の投入は実現しなかったものの、スペースワンとの協力関係はスムーズで、確固たる連携が築かれた」と評価し、和歌山が地理的に台湾に近く、打ち上げが柔軟かつタイムリーである点をメリットとして挙げています。呂副教授は、「今回の衛星の部品はほとんどが台湾で生産されたもので、宇宙空間での通信技術が確立できれば、台湾にとって大きな意義がある。打ち上げの成功を心から楽しみにしている」と語りました。

クラウドファンディングで支援募る、地域活性化にも期待

今回の打ち上げは約1年2か月ぶりであり、過去2回の失敗にもかかわらず、ロボットファンの関心は衰えていません。和歌山県と串本町、那智勝浦町は、公式見学場を2か所設置し、計4000枚の見学チケットを販売。一般向けの1600枚は1月に発売され、24時間以内に完売するほどの人気を博しました。残りの2400枚はツアー旅行用として提供されています。

那智勝浦町でカキの養殖に携わる漁師(53歳)は、「成功すれば多くの観光客が訪れ、町全体の発展につながるはずだ」と期待を寄せており、見学場では蒸しガキの販売も計画されています。スペースワンは初めてクラウドファンディングを実施し、「カイロスの挑戦に一緒に参加していると感じてほしい」と呼びかけました。昨年12月に開始したキャンペーンでは、第一目標の8000万円に迫る7700万円が集まり、部品輸送費などに充てられる予定です。返礼品として、3号機のロゴ入りマフラータオルなどを用意し、応援グッズとしての活用を促しています。

地場産業化を目指す宇宙アクションプラン

和歌山県は昨年8月、発射場がある県南部を中心に、2040年を目標としてロボット事業者向けの部品工場などを集積させ、宇宙産業を地場産業化する「宇宙アクションプラン」を策定しました。県成長産業推進課の担当者は、「打ち上げ成功は重要な一歩であり、何よりも成功を期待している。高頻度の打ち上げ実現につなげてほしい」と述べ、地域活性化への期待を強調しています。

過去の失敗を教訓に、技術改良で臨む3度目の挑戦

カイロスの名前は、ギリシャ神話の時間神に由来し、人工衛星の搭載から打ち上げまでを世界最短で実現するというスペースワンの意気込みを表しています。同社は2020年代終わりに年間20機、2030年代には年間30機の打ち上げを目指していますが、これまでの道のりは平坦ではありませんでした。

初号機は2024年3月に打ち上げ約5秒後に爆発し、2号機は同年12月に第1段エンジンの分離に成功し宇宙空間に到達したものの、約3分後に爆発する事態に見舞われました。社内調査の結果、2号機では姿勢制御センサーにトラブルがあったことが判明。スペースワンは、配線周囲に断熱材を巻くなどセンサーの耐久性を高める工夫を施し、機体の総点検を実施して3号機に臨みます。

豊田正和社長は2月18日のオンライン記者会見で、「未来へ向かう重要な通過点として、3号機の打ち上げに挑んでいく」と決意を表明しました。打ち上げは25日午前11時を予定し、順調なら1時間弱で衛星を分離して軌道投入する見込みです。気象条件などによっては延期となる可能性もあります。