iPS心筋シートが心臓の弾力性を回復させ機能改善 岡山大・クオリプスが新たな作用メカニズムを解明
岡山大学と大阪大学発ベンチャー企業「クオリプス」を中心とする研究チームは、人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した心筋シートをラットの心臓に移植することで、心筋梗塞によって硬くなった部分の弾力性が増加し、心臓の機能が改善されることを明らかにしました。この研究成果は、3月17日までに科学誌に発表され、心筋シートの作用に関する新しい知見として注目を集めています。
心筋梗塞で硬くなった心臓にiPS心筋シートを移植
研究チームによると、心筋梗塞を発症したラットの心臓は、組織が硬くなり、正常な機能を失うことが知られています。今回の実験では、iPS細胞から作製した心筋シートをこのようなラットの心臓に移植したところ、驚くべき効果が確認されました。移植された心筋シートが、硬くなった心臓組織に作用し、弾力性を回復させたのです。
具体的には、心筋梗塞で損傷を受けた部分の修復に関わるコラーゲンのバランスが改善され、これが心臓の柔軟性を高める要因となったと分析されています。このメカニズムは、従来の再生医療研究では十分に解明されていなかった部分であり、チームは「心筋シートの作用に関わる革新的な発見」と位置付けています。
再生医療の新たな可能性を拓く知見
iPS細胞を用いた再生医療は、近年急速に進展しており、クオリプスが開発した心筋シート「リハート」は、今月、期限・条件付きで厚生労働省から承認されました。この承認に際しては、厚生労働省が作用メカニズムに関する詳細なデータ収集を求めており、今回の研究成果はその要請に応える形で発表されたものです。
研究チームは、今回の知見が以下の点で重要な意義を持つと強調しています。
- 心筋シートが単に細胞を補充するだけでなく、組織の弾力性を改善する作用を持つことを初めて実証した。
- コラーゲンバランスの改善という具体的なメカニズムを解明し、再生医療の効果を科学的に説明できるようになった。
- 今後の臨床応用において、治療効果の予測や安全性の向上に役立つ可能性がある。
この研究成果は、心臓病治療における再生医療の新たな道筋を示すものとして、医学界や患者団体から大きな期待が寄せられています。チームは、さらなる研究を進め、ヒトへの応用を目指す方針です。



