NTTとJAXA、低軌道衛星通信の実証実験を開始 省電力技術で米国勢に対抗
NTTは4月15日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、低軌道衛星を活用した通信の実証実験を開始したと正式に発表しました。この取り組みは、宇宙と地上を無線および光回線で結ぶ高速通信網の構築に向けた重要な一歩となります。
米国勢の圧倒的な数に対し、省電力化で差別化を図る
低軌道衛星通信分野では、米国の実業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXを筆頭に、海外企業が1万機以上の衛星を打ち上げるなど、数的優位で市場を席巻しています。NTTとJAXAは、こうした状況下で、省電力技術を武器に対抗する戦略を打ち出しました。数では劣るものの、エネルギー効率の高いシステムを確立することで、持続可能な通信インフラの提供を目指します。
実証実験の詳細と具体的な目標
実証実験では、昨年12月に打ち上げられた革新的衛星技術実証4号機を対象に、地上の複数端末から同時通信を行い、電波環境の観測を実施します。主な目的は、省電力化の可能性を検証することにあり、1年間の実証期間を通じて技術の確立を図る計画です。
この技術が確立されれば、衛星のみで地上からのデータを大規模に収容できるようになり、地上の通信基地局が不要となります。その結果、IoT(モノのインターネット)サービスを低コストで広域に展開することが可能になります。将来的には、以下のような利点が期待されています:
- 地上通信網が整備されていない海洋や山間部でも、安定した通信が実現できる。
- 通信機能を備えた機器からリアルタイムでデータを取得し、鳥獣害対策や河川監視、海洋観測、災害予測などの精度が向上する。
低軌道衛星通信の現状と世界的な動向
低軌道衛星は、高度200~2000キロを周回する小型人工衛星群で、スペースXや米アマゾンなどが巨額の投資を行っています。特にスペースXは、打ち上げ数が1万1000機を超え、約9700機が稼働していると報告されており、世界的なリーダーシップを握っています。NTTとJAXAの取り組みは、こうした国際競争の中で、日本独自の技術力で存在感を示す試みと言えるでしょう。



