松田町AIオンデマンドバス、9300万円赤字で本格実施断念 町長「需要見通し甘かった」
AIオンデマンドバス、9300万円赤字で本格実施断念

松田町のAIオンデマンドバス、3年間で9300万円の累積赤字 本格実施見送りへ

神奈川県松田町で実施されたAIオンデマンドバスの実証実験事業「のるーと足柄」が、3年間の運行で約9300万円の累積赤字を出したことが明らかになりました。この結果を受け、町は当初計画していた本格的な実施を行わないことを決定し、実証実験は今月末で終了します。

事業収支の責任は法人が負う契約、町は赤字補填せず

一般社団法人「足柄オンデマンド」が運営を担ったこのバス事業では、利用者の予約に応じてAIが最適なルートを選択するシステムを採用していました。町は人工知能運行システムの構築や運営委託費として、法人に3年間で計1億500万円を支払いましたが、利用者が想定を大きく下回り、法人は毎年約2900万~3500万円の赤字を計上し続けました。

契約上、事業収支の責任は法人が負うこととなっており、法人はバス運行を委託したバス会社などに約6000万円の運行委託費を支払えていない状況です。町側は「現時点では赤字を補填するつもりはない」と表明しており、財政的な負担は法人に委ねられる形となりました。

町長「需要の見通しが甘かった」と反省の弁

松田町の本山博幸町長は、この結果について「このバスに期待してくれた町民には結果を出せず、すまないと思う」と謝罪の意を示しました。さらに、「アンケートで需要があると考えて実施したが、見通しが甘かったと言われればそうかもしれない」と述べ、需要予測の不十分さを認めました。住民の足の確保を目指して2023年から開始された実証実験でしたが、実際の利用状況は期待を大きく下回るものでした。

新年度は新たな交通サービスを実施へ

実証実験の終了に伴い、町は新年度に向けて新たな交通サービスの実施を計画しています。約1000万円の予算を投じ、地域の移動手段を再構築する方針です。これにより、より効率的で持続可能な交通システムの模索が続けられる見込みです。

この事例は、AI技術を活用した公共交通サービスの導入における課題を浮き彫りにしており、今後の類似事業への教訓となる可能性があります。町は今後、利用者ニーズの精緻な分析と、財政面での慎重な検討を重ねていくことになりそうです。