急速に進化する人工知能(AI)が教育分野にも大きな影響を及ぼしている。学びを深める可能性が期待される一方、思考力の低下などの懸念も指摘される。保護者や教師はどのように対応すべきなのか。米グーグルでAIの教育活用を統括するベン・ゴメス氏に聞いた。
AI活用の課題と可能性
子どもがAIに触れる機会が増える中、使い慣れると自ら考えなくなるのではないかという懸念がある。ゴメス氏は「私も最近の論文で思考力低下などの課題を指摘した。弊害を避けるには、能動的な方法でAIを使う手段を考える必要がある」と述べる。
一方で、自身の経験を踏まえ「AIを使うことで以前より多くのことを学んでいる。自分のレベルに合った情報を得られるからだ。例えば、日本人が健康な理由を食べ物の効果だけと考えていたが、AIに尋ねることで社会や都市の構造、移動手段など複合的な要因を知ることができた」と語る。
宿題とAIの関係
宿題の答えをAIに頼る子どもに対して、ゴメス氏は「宿題の目的を考えるべきだ。単に答えを出すことではなく、考え方やプロセスを学ぶことが重要。AIを活用する場合は、答えだけでなくその導き方を尋ねるよう促すと良い」と助言する。
さらに「親はAIの使い方を教えるのではなく、批判的思考を育てる役割を担うべきだ。AIの答えをそのまま信じるのではなく、検証する習慣をつけさせることが大切」と強調する。
教育現場でのAI導入
学校現場では、AIをどう取り入れるかが議論になっている。ゴメス氏は「教師はAIを活用して個別指導を強化できる。例えば、生徒の理解度に応じた問題を自動生成したり、フィードバックを即座に提供したりできる」と可能性を示す。
一方で「AIに頼りすぎると教師の役割が軽視される危険性もある。教育の本質は人間同士の相互作用にある。AIはあくまでツールであり、教師の判断を補完するものだ」と注意を促す。
親の役割とは
ゴメス氏は「親はAI時代においても、子どもの学習環境を整える重要な存在だ。AIの使い方を制限するのではなく、一緒に使って学ぶ姿勢が求められる」と語る。
具体的には「宿題でAIを使う場合、子どもに『なぜその答えになったのか』を説明させることで、思考力を鍛えられる。また、AIの限界や誤りの可能性について話し合うことも有効だ」と提案する。
最後に「テクノロジーは進化し続ける。親も学び続ける姿勢を持ち、子どもと共に成長していくことが大切だ」と締めくくった。



