引退寸前だった木曽望遠鏡が大発見、太陽系の果ての小天体に大気を確認
引退寸前の木曽望遠鏡、太陽系果ての小天体に大気を確認

完成から半世紀以上が経過し、一時は引退も検討されていた東京大学木曽観測所(長野県)の望遠鏡が、最新のデジタル技術で復活を遂げ、世界有数の学術誌『ネイチャーアストロノミー』に掲載される画期的な成果を上げた。太陽系の果てにある直径約500キロメートルの小天体に大気が存在することを確認したもので、論文は5日に公開された(DOI:10.1038/s41550-026-02846-1)。

半世紀の歴史を持つ望遠鏡の再生

木曽観測所は1974年に開設され、夜空の広範囲を撮影できる「シュミット式」望遠鏡としては世界で4番目の規模を誇っていた。しかし、長年にわたり世界をリードする成果には恵まれず、『ネイチャー』や『サイエンス』などのトップジャーナルに論文が掲載されることはなかった。近年は主に教育目的で使用され、引退も現実味を帯びていた。

転機が訪れたのは2019年。デジタルカメラ向けに開発された画像センサーを84枚も並べた、総画素数1億9000万の超高性能カメラ「トモエゴゼン」を搭載したことで、望遠鏡は息を吹き返した。超高感度センサーと大型望遠鏡の組み合わせにより、わずか0.5秒で星を撮影できるようになり、高速で変化する天文現象を捉える「時間領域天文学」という新たな研究分野を切り拓いた。

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太陽系最果ての天体に大気を確認

国立天文台の有松亘講師率いる研究グループは、2024年1月10日、太陽系の果てに位置する直径約500キロメートルの天体「2002 XV93」を観測した。遠くの星がこの天体の背後に隠れる現象(掩蔽)を捉えたところ、星の明るさが突然消えるのではなく、徐々に暗くなることが判明。このことから、天体の周りに光を弱める大気が存在し、その圧力は地球の約1000万分の1と推定された。

太陽系の果てにある天体で大気が確認されたのは、冥王星に次いで2例目となる。この発見は、太陽系外縁部の天体の形成や進化を理解する上で重要な手がかりとなると期待される。

東京大学名誉教授の岡村定矩氏は、この成果について「長年の努力が実を結んだ」と評価している。

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