職員の人手不足を補い、労働環境を改善するため、三重県内の自治体や県警が窓口業務の改革に乗り出している。AI(人工知能)を活用した案内業務の効率化や受付時間の短縮など、職員の負担を軽減しつつ行政サービスの質を維持する試みが続いている。
菰野町が導入した「AIさくらさん」
菰野町役場の入り口付近には、「AIさくらさん」と呼ばれる女性キャラクターが設置されている。来庁者がモニターに近づくと、「何かお手伝いできることはございますか?そのまま話しかけてください」と声をかける。「マイナンバーカードの更新をしたい」と伝えると、手続き窓口の場所や必要な持ち物を表示する。
同町は今年1月、AIを活用した仮想キャラクターを総合案内に起用。来庁者の質問に答え、行き先や手続きの詳細を説明するほか、御在所ロープウエイや図書館などの周辺施設情報も提供する。同町企画情報課によると、1月から5月中旬までに計約900人が利用し、約9割が「とてもよい」または「よい」と評価した。
担当者は「今後の労働力人口の減少を見据え、AIで対応できるものは任せていこうと考えた。職員の志願者が例年より少ない年も増え、状況が差し迫ってからでは遅い」と説明。現在も総合案内には職員が常駐するが、AIの学習が進めば、職員を置かずに完全移行する可能性もあるという。
課題は回答の精度だ。担当者は「役場の業務は幅が広い。『寄付金が欲しい』という相談でも、住民が寄付金の名称を把握しているとは限らない。正しく取り次ぐにはAIの調整が必要」と話す。
受付時間短縮の効果
受付時間の短縮も進んでいる。県警は昨年4月から、県警本部と全18警察署の窓口業務の受け付け終了時間を、従来の午後5時頃から午後4時に繰り上げた。時間短縮を知らずに訪れる人もいたが、不満や苦情は確認されていないという。県警の担当者は「時間外勤務が当たり前の体制から変わり、職員のワーク・ライフ・バランス改善に効果があった」と手応えを語る。
県も8月から来年3月末まで、窓口の受付時間を午前8時半~午後5時15分から午前9時~午後4時に試験的に短縮する。一見勝之知事は4月の定例記者会見で、「行政手続きのデジタル化が進んできたので、窓口に来なくても手続きができるようになった」と説明。その上で、「不都合があれば戻すことも考える」と述べている。



