NHK会長がWBC地上波中継なしに警鐘 「国民的イベントの議論の場が必要」
野球の国際大会ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を巡り、日本国内で地上波テレビ中継が実現しなかった問題について、NHKの井上樹彦会長は3月18日の定例会見で懸念を表明した。井上会長は「国民的スポーツイベントを誰もが見られるようにするため、関係者間での議論が盛り上がることに期待を寄せたい」と述べ、解決策の模索を呼びかけた。
Netflix独占放映で地上波中継が初のゼロに
WBC2026は3月17日(米国時間)にベネズエラの初優勝で幕を閉じた。日本では米動画配信大手Netflixが全試合の独占放映権を獲得し、地上波テレビでの中継がない初めての大会となった。この状況について井上会長は「放送権料の著しい高騰によって、国民的なスポーツイベントを視聴する機会が限られてしまうことは、競技の普及の面からもあまり好ましいことではない」と指摘した。
さらに会長は「今後関係者の間で前向きな議論を行う場が設けられる必要があるのではないか」と私見を述べ、具体的な解決策として以下の点を挙げた。
- テレビ局と配信事業者が連携して放映権を獲得すること
- 国民の関心事については誰でも見られるようにする「ユニバーサルアクセス」制度の整備
NHKとしても議論に参加する意向
井上会長は「具体的に構想があるわけではない」と断った上で、「総務省、放送事業者、配信事業者、スポーツ団体、スポーツイベントに関係している様々な団体や組織からそのような声が出てくるのではないか」と予測。その上で「NHKとしてもそういった議論には入っていく」と明言し、積極的な関与を示唆した。
会長はまた「配信事業者とは競争するだけではなく、連携を含めた新たなかたちを模索することも検討しうるのではないか」と述べ、従来の対立構造を超えた協力の可能性に言及。デジタル時代におけるスポーツ放送の在り方について、幅広い議論の必要性を強調した。
この発言は、高額化するスポーツ放送権が視聴者のアクセスを制限する現状への問題提起として注目される。国民的イベントであるWBCを地上波で視聴できなかったことは、多くの野球ファンから不満の声が上がっており、今後のメディア環境の変化を考える上で重要な議論を呼び起こす可能性がある。



