三重県の高校生自殺問題、調査委員会が最終報告書を答申
2022年2月に三重県内の県立高校に在籍していた2年生の男子生徒(当時17歳)が自殺した問題をめぐり、いじめの有無を再調査していた「県いじめ調査委員会」は4月8日、調査報告書を一見勝之知事に答申しました。報告書では、いじめの事実認定はできず、自死との関連性を判断することも困難であるとの結論が示されました。
生徒の状況と調査の経緯
調査報告書によると、男子生徒は運動部に所属し、2年次からキャプテンを務めていました。自殺直前の2021年11月から12月にかけて、家族に対して「もう生きていてもしょうがない」などと発言していたことが明らかになっています。2022年2月以降は部活動や学校を休みがちになり、その後、自死に至りました。生前には、おなかの不調によるおならを我慢できないことや、キャプテンとしてのプレッシャーなど、さまざまな悩みを周囲に漏らしていたとされています。
調査委員会は、保護者の主張に基づき、以下の5点について重点的に調査を実施しました。
- 同級生からおならが「くさい」と言われたという指摘
- 何者かから「死ね」と言われたという主張
- トイレで昼食をとっていたとされる状況
- その他、いじめに関連する可能性のある事象
調査結果と再発防止策
調査では、新たに当時の部活動の下級生をヒアリング対象に加えるなど、聴取範囲を拡大。教員や同級生を含む24人中20人から回答を得ましたが、いずれの項目についても「事実と認めるに足りる資料がない」と判断されました。そのため、いじめの事実を認定することはできず、自死との因果関係を明確に結びつけることも困難であると結論づけられています。
一方で、再発防止策として、生徒が自死するほど追い込まれていたことに周囲が気づけなかった点を指摘。スクールカウンセラーをはじめとする相談体制の充実や、早期発見・対応の強化を提言しています。調査委員長を務める庄山哲也弁護士は、遺族の反応について「一定の理解はいただいている」と述べました。一見知事も、従来の教育相談体制について「改善すべき事項があれば改善していく」と対応を約束しています。
問題の背景とこれまでの経過
この問題では、当初、いじめに起因する疑いがあるとして、学校側が2022年9月に重大事態に認定。県教育委員会の付属機関である「県いじめ対策審議会」が調査を実施し、2023年11月には自殺につながるいじめは確認されなかったと結論づけられていました。しかし、遺族から調査が十分でないとの要望があり、2024年11月から県いじめ調査委員会による再調査が行われていた経緯があります。
今回の答申により、4年にわたる調査が一つの区切りを迎えましたが、いじめ防止や生徒のメンタルヘルス支援に向けた課題は依然として残されています。地域社会全体で若者の命を守る取り組みが求められる状況が続いています。



