河瀬直美さん万博パビリオンのイチョウ苗木、芦屋の緑地へ移植へ
河瀬直美さん万博パビリオンのイチョウ苗木、芦屋へ

大阪・関西万博で映画作家の河瀬直美さんがプロデュースしたパビリオン「Dialogue Theater―いのちのあかし―」の中心にそびえていたシンボルツリーのイチョウ苗木が、6月に兵庫県芦屋市翠ケ丘町の翠ヶ丘南緑地に植えられることになった。万博のレガシーとして「いのち」と「対話」の理念を受け継ぎ、地域活性化につなげるという。

廃校から生まれたパビリオン

万博開催期間中、同館では初対面の来場者らがスクリーン越しに即興で対話し、他の来場者がその様子を映画のように鑑賞した。建物は廃校となった奈良県十津川村の中学校と、京都府福知山市の小学校分校の校舎を移築し活用。敷地中央には、この分校から子どもたちの成長を見守った推定樹齢100年のイチョウをシンボルツリーとして移植した。

イチョウを救った決断

このイチョウは当初伐採の危機にあったが、「夢でイチョウが切らないでと言っていると思った」と河瀬さんが移植を決断。イチョウの種から芽吹いた苗木も育てられた。

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芦屋の緑地との縁

翠ヶ丘南緑地には、阪神大震災で倒壊した近くの旧家にあったとされる石碑が残る。同町自治会は「小学校廃校を生き延びたイチョウの苗木を石碑と同じ公園に植えることで、『対話』の理念を受け継ぎ、翠ヶ丘から芦屋全体へ対話が広がれば」と日本国際博覧会協会に相談。河瀬さんの協力で苗木の譲渡が決まった。今年2月には芦屋市内で開かれた河瀬さんの最新作「たしかにあった幻」の公開記念イベントで、自治会メンバーと河瀬さんの交流が実現した。

河瀬さんの思い

苗木の植樹について、河瀬さんは「イチョウが切られると泣いた時、小さな種をみんなが持ち帰ってくれたら、地球上いっぱいに広がるイメージがあった。それが命のあかし、対話、ダイアローグシアターだった」とし、「神様がつなげてくれた気がする。芦屋とのご縁で、映画や万博を通して未来がつながっていく」と喜んだ。

今後の予定

同館の建物やイチョウの親木は大阪府泉佐野市の泉佐野丘陵緑地への移設が決まり、イチョウは先行して4月20日に移植された。翠ヶ丘南緑地では6月20日に植樹式を行う。同自治会の小林拓也会長(57)は「河瀬さんたちはイチョウの移設先を全力で探し、つなげた。あきらめない心を子どもたちに伝えたい」と期待する。

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