福島県田村市に県内最大級の複合農場が竣工 原発事故からの復興を後押し
JA全農福島の子会社である美土里耕産(福島県郡山市)が、田村市都路町に整備を進めてきた大規模農場「全農美土里ファーム」がこのほど完成しました。この施設は、酪農と和牛繁殖を同時に行う規模としては福島県内で最大級を誇り、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の被災地における畜産農家の営農再開を強力に支援する役割を担います。
被災地の畜産基盤復興を目指した包括的な取り組み
この農場は、震災と原発事故によって縮小を余儀なくされた被災12市町村内の畜産・酪農生産基盤の再生を目的として整備されました。主な活動として、育てた素牛を被災地の畜産農家に供給するほか、農作物を栽培する農家への堆肥提供や飼料作物の受け入れを通じて、地域の農業全体との連携を深めていく方針です。これにより、持続可能な農業循環の確立を図ります。
先進的な設備と野心的な生産目標を設定
施設では、乳牛1200頭、哺育・育成牛1400頭、和牛繁殖牛50頭の合計2650頭を飼育する計画が立てられています。最新の搾乳ロボットなどの先端技術を導入し、2029年をめどに生乳生産量を1日当たり30トン、年間では1万1000トンにまで拡大することを目指しています。さらに、和牛受精卵移植を実施し、年間550頭を乳牛から和牛に転換する取り組みも推進する考えです。
農場は畜舎や飼料庫など32棟の建物で構成されており、延床面積は約5万8000平方メートルに及びます。既に今年2月から一部が稼働を開始し、乳牛の受け入れが行われています。
竣工式で関係者がテープカット 地域の期待を集める
現地では17日、竣工式が執り行われ、関係者約50名が出席しました。美土里耕産の安達正則社長は挨拶の中で、「近代的なモデル農場として英知を結集し、将来的には県内の畜産生産の重要な拠点となれるよう尽力していきたい」と意気込みを語りました。式典には白石高司田村市長や原喜代志JA福島五連会長らも参加し、テープカットを行って施設の完成を祝いました。
この農場の稼働は、福島県の農業復興に向けた大きな一歩として、地域経済の活性化と持続可能な畜産の発展に貢献することが期待されています。



