世界的抹茶ブームで日本茶専門店が危機…杉並の老舗が海外進出で新たな活路を模索
抹茶ブームで日本茶専門店が危機、杉並の老舗が海外進出

世界的な抹茶ブームが引き起こす日本茶業界の危機

世界的な抹茶ブームの裏側で、日本茶業界に深刻な影響が広がっている。東京・杉並区の日本茶専門店「東京繁田園(はんだえん)茶舗」では、原材料の高騰により人気商品の抹茶アイスが販売できなくなる事態に直面している。代表の繁田穣さん(48)は「まさに抹茶クライシス(危機)」と語り、業界全体の苦境を明らかにした。

高騰する抹茶価格と店頭への影響

海外での抹茶ラテやスイーツブームが続く中、同店では約2年前から転売目的の業者が大量購入に訪れるようになった。これに対応するため、購入は1人1缶に制限する案内を掲示。それでも抹茶の店頭価格は昨年から3回値上げされ、約2倍に跳ね上がっている。繁田さんは「原材料の高騰で、抹茶アイスは今の価格ではもう作れないとメーカーから最終回答があった。夏場に売れる商品だったのに…」と嘆く。国産抹茶を使用した人気商品「抹茶もなかあいす」は、50個ほどの在庫限りで販売終了を余儀なくされた。

煎茶やほうじ茶にも波及する価格上昇

影響は抹茶だけにとどまらない。高値で取引される抹茶の原料「てん茶」への転換を図る生産者が増加し、煎茶用茶葉の供給が減少。さらに高齢化や廃業による生産量の低下も重なり、静岡県産の「秋冬番茶」などの平均価格は前年の約5倍に高騰した。同店では全国の生産者から仕入れた約50種類の日本茶を販売しているが、直接仕入れでもこの2年で仕入れ値は20%上昇。ほうじ茶の価格は1年前から2回値上げされ、現在は税込み550円となっている。

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繁田さんは「毎日飲める、手ごろでおいしいお茶を提供できなくなるのが心苦しい」と語り、日常的な日本茶の楽しみが脅かされている現状を憂う。

海外進出で日本茶文化の多様性を発信

こうした危機的状況の中、繁田さんは新たな戦略を模索している。同店はもともと煎茶を中心とした日本茶専門店としてスタート。現在は「抹茶だけではない日本茶の豊かさを伝えたい」という思いから、海外での活動を強化している。

フランスやスペイン、フィリピンなどで日本茶セミナーを開催する一方、特に手応えを感じているのがオーストラリア・シドニーでの取り組みだ。留学中のいとこの繁田真理子さん(32)が昨年6回ほどイベントに出展し、煎茶やほうじ茶の試飲を提供。「日本茶=抹茶と思われているが、他の種類もおいしいと知ってもらえる」と反響を実感している。

2人は「日本茶文化を伝え、守る拠点をつくりたい」と、今年7月にシドニーの文化的な「サリーヒルズ」エリアでの日本茶専門店オープンを目指す。20日までクラウドファンディングで内装工事費などの支援を募りながら、「急須でいれるお茶も含め、日本茶の多様性を発信していきたい」と意気込む。

世界的なブームが逆風となる皮肉な状況の中、杉並の小さな専門店が海外進出という予想外の作戦で日本茶文化の未来を切り開こうとしている。

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