長崎県島原市のイチゴ農園が「土の再生」で地域資源循環賞を受賞
長崎県島原市のイチゴ農園「出田農円」が、植物由来の堆肥づくりの取り組みを記録した動画「土と共に生きる」が、農林水産省や環境省などが主催する「サステナアワード2025」において、地域資源循環賞を受賞しました。この賞は、食や農林水産業に関わる資源循環の取り組みを発信する動画を表彰するものです。
土そのものの再生が日本の農業を救う鍵
出田農円の専務である出田雄大さん(37)は、受賞について次のように語っています。「野菜だけでなく土に肥料を与える土の再生が、日本の農業を救う鍵だと思っている。受賞を機に、私たちの活動が広まればうれしい」と述べ、化学肥料に依存しない農業の重要性を強調しました。
同農園は2年前から、野菜くず、稲わら、落ち葉などの植物由来の資材を使った堆肥づくりに取り組んでいます。一般的な堆肥が牛ふんなどの動物性資材を用いて植物の成長に必要な窒素を土に投入するのに対し、植物性堆肥は窒素よりも炭素を土に入れることが目的です。これは、植物への栄養よりも、土そのものに力を与えることを重視したアプローチです。
具体的な取り組みと成果
出田農円では、約100平方メートルの堆肥舎を設置し、他の農家などからも集めた野菜くずや稲わらを活用して、年間45立方メートルの植物性堆肥を生産しています。この堆肥をイチゴ栽培に用いた結果、品質の向上が確認されました。また、周囲の農家にもこの取り組みが徐々に広がり、「収量が改善した」といった報告も受けているとのことです。
出田専務は、戦後の化学肥料中心の農業について、「一時的に農業をよくしたが、今の農家は疲弊している」と指摘。その上で、「新たな化学肥料を入れるのではなく、作物ではなく土に肥料を与えて大地の再生からやり直していきましょうと呼びかけていきたい」と、持続可能な農業への転換を呼びかけています。
受賞の経緯と今後の展望
今回の受賞は、出田農円の動画を動画投稿サイト・ユーチューブで視聴した農林水産省の担当者が応募を勧めたことがきっかけでした。この表彰を通じて、植物性堆肥による土の再生という取り組みが、より多くの人々に知られることが期待されています。出田農円の活動は、地域資源の循環を促進し、日本の農業の未来を考える上で重要な事例として注目を集めています。



