三重県が避難所環境改善を強化 関連死防止へ8000万円計上
甚大な被害が想定される南海トラフ地震に備え、三重県は新年度、避難所の環境改善に取り組む市町への財政支援を強化する。避難生活による持病の悪化や疲労、ストレスで命を落とす「災害関連死」を防ぐためで、関連費用として当初予算案に今年度の2倍にあたる8000万円を計上した。
過去の地震で相次いだ関連死の教訓
過去の大地震では避難所環境の悪さが問題となり、関連死が相次いだ。2011年3月の東日本大震災では1都9県で3810人、2016年4月の熊本地震では熊本、大分両県で223人、2024年1月の能登半島地震では石川、新潟、富山3県で495人が関連死に認定されている。
国が昨年3月に公表した南海トラフ地震の被害想定では関連死を2万6000~5万2000人と推計。三重県は能登半島地震での教訓を踏まえ、関連死対策を進める。
国際基準「スフィア基準」の達成を目指す
指標としているのは避難所が確保すべき生活環境を示した国際基準「スフィア基準」。「居住スペースは1人当たり最低3.5平方メートル」「飲料水、生活用水合わせて1日最低15リットルを確保」「トイレは50人に1基(災害直後)」「個室トイレの男女比は1対3」といった人間らしく暮らすのに必要な状況の目安が数値で示されている。
ただ県内の対応は進んでいない。県が県内全1394か所の指定避難所を昨年調べたところ、居住スペースの目安を満たしたのは4.9%ほど。避難者のプライバシーを守るためにパーティションなどを備えているのは10.1%だった。
財政支援で整備を加速
資機材の確保にかかる多額の費用が各市町の壁になっているといい、県は補助を増やすことで簡易ベッドなどの整備を加速させたい考えだ。
国は昨年7月、南海トラフ地震に備えた「防災対策推進基本計画」を改定した。全国すべての自治体が30年度までにスフィア基準を満たすことなどが盛り込まれている。
知事「関連死を減らすため対応を」
一見勝之知事は10日の定例記者会見で「今までは県も、快適な避難所(が大切)という意識をあまり持っていなかった。関連死を減らすため、対応していきたい」と述べた。
防災「不断の対策」を誓う
県庁や津市役所では11日、地震が起きた午後2時46分に合わせて職員らが黙とうをささげた。津市危機管理課の谷真課長は取材に「南海トラフ地震に備え、不断の対策を進めていきたい」と話した。
三重県は南海トラフ地震の甚大な被害想定を踏まえ、避難所環境の改善を通じて災害関連死の防止に本格的に取り組む姿勢を示している。新年度予算案に計上された8000万円は、市町がスフィア基準を満たすための資機材整備を後押しする重要な財源となる。
過去の地震の教訓を生かし、避難者が人間らしい生活を送れる環境を整備することは、災害時の命を守る上で極めて重要だ。県と市町が連携して不断の対策を進めることが求められている。



