今春、茨城県稲敷市の地域おこし協力隊の任期を終えた東京都出身の高木佑恭さん(27)が、市特産の江戸崎かぼちゃ農家として独立しました。地縁のない稲敷市に移住し、未経験の農業の世界に飛び込んで3年。先輩農家から学んだ栽培法を生かし、若い世代の就農の呼び水となりたいと意気込んでいます。
地域おこし協力隊から独立へ
高木さんは早稲田大学で化学を学び、体力や行動力を生かせる仕事として農業に興味を持ちました。栃木県の農業法人での就業体験を通じて決意を固め、2022年3月に卒業後、関東の農産地を自転車で巡り、各地で短期研修を受けながら就農先を模索しました。
稲敷市との縁をつないだのは江戸崎かぼちゃでした。同市での3日間の研修で初めて味わい、ホクホクとした食感と広がる甘みに「これがカボチャ本来の味なのか」と衝撃を受けました。江戸崎かぼちゃは国の地理的表示(GI)制度に登録されており、産地全体で品質管理を徹底する姿勢に共感し、「誇らしく思えるものを作りたい」という思いが一致しました。
2023年4月から地域おこし協力隊員となり、月額26万6千円の報償費に加え、年間200万円を上限とする活動費を活用。任期終了後の独立を見据え、先輩農家の作業を手伝いながら栽培技術を習得しました。
初収穫の喜びと家族の反応
隊員2年目から自分の畑を持ち、初収穫に合わせて育てたカボチャを実家に持ち帰り、両親と煮物にして食べました。「こんなにおいしいカボチャを作れたのか」と驚きと達成感が交錯し、「この道を選んで良かった」と確信しました。
ブランド存続への危機感
JA稲敷によると、市内の江戸崎かぼちゃ農家は約20人で、10年前に比べて3割減少。60~70代が中心で、高木さんは唯一の20代です。江戸崎かぼちゃを100年ブランドにする目標に向け、「同世代の仲間を増やさなければブランドの存続は難しい。関心を持ってもらえるロールモデルになりたい」と力を込めます。
地域への感謝と未来への展望
昨年末には、他の野菜農家も巻き込み、稲敷産食材を使った料理イベントを初開催。移住当初は孤独を感じることもありましたが、「独立できたのは多くの人の支えがあればこそ」と地域への感謝を忘れません。江戸崎かぼちゃを育てるだけでなく、農業を通じて地域を盛り上げることで恩返ししたいと語っています。



