福島デスティネーションキャンペーン開幕間近 復興の姿と魅力を発信へ
大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」の開幕が4月1日に迫っています。東日本大震災から15年目の節目での開催に関係者は特別な思いを抱きながら、おもてなしの準備を進めています。「復興の姿を見てほしい」「福島の魅力を発信する」という強い思いが、各地の取り組みに込められています。
松川浦の名物「浜焼き」で常磐ものの魅力を再発信
相馬市の海沿いにある旅館「遊学の宿いさみや」では、DC期間中に松川浦名物の「浜焼き」を前面に押し出す企画を行います。4代目の管野功さん(49)は「常磐ものや松川浦の魅力をあらためて知ってもらう機会になってほしい」と話し、本番へ向けて準備を進めています。
震災で大きな被害を受けた相馬市沿岸部。浜焼きは、管野さんら旅館の若旦那有志が、震災前に松川浦沿いの旅館軒先でよく見かけた魚を焼く風景をよみがえらせようと2021年に復活させた取り組みでした。しかし、いさみやは2022年の震度6強の地震で震災時と同様に、しばらく休業を余儀なくされました。2024年に再開し、こぎ着けたDCでの企画に懸ける思いは強いのです。
管野さんは「浜焼きは常磐ものの魅力の発信と地域ににぎわいを取り戻そうと復活させました。復興した姿も見てほしい」と強調します。いさみやでは、宿泊客や団体客を対象に浜焼きの串打ち体験を実施。松川浦の小型船遊覧や磯ガニ釣りなども体験できます。話題も集まり、DC期間中は春の大型連休や5月の「相馬野馬追」の間の宿泊予約がほぼ埋まりました。
「一度来てもらえれば誰もが松川浦、相馬、そして福島を好きになってくれるはず。精いっぱいのおもてなしをしたい」と管野さんは心待ちにしています。
円蔵寺でお茶会や秘蔵の品を特別公開
ふくしまDCは、福島県の歴史や文化を知ってもらう機会としても期待されています。1200余年の歴史を誇る柳津町の福満虚空蔵菩薩円蔵寺では、4月から6月の毎月第3土曜日に「庫裡」でお茶会が開かれます。普段は入れない施設を一般開放するといい、準備を進める目黒陽道住職(52)は「いつもは表に出さない品も公開します。町内にも足を延ばしてほしい」と語ります。
展示も工夫し、円蔵寺などが所蔵する元首相の近衛文麿の書や有栖川宮熾仁親王の掛け軸などを披露する予定です。目黒住職は「円蔵寺や柳津町を知るきっかけにしてほしい」と期待を寄せています。
SLしあわせの風ふくしま号が試運転 磐越西線を走行
ふくしまDCに合わせて4月11日、12日の両日に特別運行する「SLしあわせの風ふくしま号」が29日、JR磐越西線を試運転しました。県内の自治体関係者約140人が磐梯山など春本番を迎える郡山―会津若松沿線の風景を楽しみました。
4月11日は会津若松―郡山間、同12日が郡山―会津若松間を運行します。JR東日本東北本部マーケティング部の戸田憲介ユニットリーダーは「福島の魅力を発信し、震災のイメージの払拭につなげたい」と意気込んでいます。試運転でJR郡山駅を出発するSLは、多くの人々の期待を乗せて走り出しました。
これらの取り組みを通じて、福島県は震災からの復興の歩みと、豊かな自然、歴史、食文化などの魅力を国内外に発信しようとしています。デスティネーションキャンペーンは、福島の新たな顔を多くの人々に知ってもらう重要な機会となるでしょう。



