松屋銀座が描く次代への継承 銀座の舞台で紡ぐ百貨店の無形文化とデザイン革新
2026年3月12日、共同通信は東京・銀座を舞台にした百貨店の未来像を伝える特集記事を配信した。松屋銀座の古屋毅彦社長へのインタビューを中心に、老舗百貨店が次の世紀へ向けて歩む姿を詳細に描いている。
創業100周年を越えて 次の世紀への挑戦
松屋銀座は2025年に誕生100周年を迎え、一連の記念行事を終えたばかりだ。古屋社長は今後のビジョンについて、「百貨店は時代を映す鏡である」と語り、伝統を守りつつ改革を見極める必要性を強調した。同店のルーツは1869年創業の鶴屋呉服店に遡るが、需要の変化から思い切って呉服売り場をなくす決断も下している。
デザインの松屋としての歴史と現在
1955年、日本デザインコミッティーと協力して店内に設けたグッドデザイン・コーナーは、「デザインの松屋」としての地位を築く礎となった。古屋社長は「ただモノがあればよかった時代に、食器や椅子など優れたプロダクトを提案し、お客さんの感性を豊かにする試みに挑んでいった」と振り返る。現在も7階のコーナーには、柳宗理やハンス・ウェグナーら新旧デザイナーのコレクションが並び、銀座という舞台だからこそ提供できる文化体験の場を創出している。
地域共創と職人技の現代化
近年は地域共創にも注力し、青森の伝統工芸を現代化した置物「めおと鳩」や、富山の鋳物メーカー「能作」とコラボした箸置きなど、職人技をデザイナーの手で新たな形に昇華させている。古屋社長は「職人さんとの密な連携は、効率性の対極にある仕事だ」と述べ、当初は売れないのではという懸念もあったが、良い意味で裏切られたと手応えを口にした。
百貨店の使命と銀座の公共性
「地域に根ざし、街の公共性を担うのが百貨店の使命」との考えから、松屋銀座は地元銀座の商店街とも深くつながっている。デジタル化を推進する一方で、距離感の近い接客など現場でのリアルな体験を重視。古屋社長は「日本の百貨店が誇るきめ細やかなサービスは、世界でも類いまれな無形文化財だ」と断言し、国内外の人々に銀座の地で直接体感してほしいと訴えた。
次代を担う才能の発掘
松屋銀座は今年、展覧会企画を公募する「デザインギャラリーアワード」をスタートさせ、次代を担うデザインやアートの才能を発掘していく方針だ。これは老舗百貨店が単なる商業施設ではなく、文化の発信地としての役割を強化する取り組みと言える。
今週の注目イベント情報
ファッションの祭典 渋谷で25回目の節目
渋谷ファッションウィーク(SFW)が、2014年の初開催から25回目の節目を迎えた。注目は初の試みとなるマーケットイベント「THE CULTIVATE MARKET by SFW」で、再開発の象徴的施設「渋谷サクラステージ」に多様なファッション出店者が集まる。地域ニュースサイト「シブヤ経済新聞」の亀岡澄子記者は、SFWが世界のストリートファッションのリアルなトレンドを反映する催しだと評価している。
ロンジン アーカイブ展 銀座で開催中
1832年創業のスイスの名門時計メーカー「ロンジン」の歩みをたどる特別展が、銀座のシテ・ドゥ・タン・ギンザで開催されている。同社で現存最古となる1902年製の腕時計や、スポーツ競技の記録を支えてきた高精度なクロノグラフなど、ブランドの歴史を象徴する名品19点が展示されている。
科学未来館でデジタル技術を活用した展示ツアー
日本科学未来館では、ろう者や難聴の人も展示内容を楽しめるように、会話をリアルタイムで文字化する透明パネル「シースルーキャプションズ」を使用したツアーが開催される。テーマは「大人になるってどういうこと?」で、加齢に伴う身体の変化を疑似体験できる展示などを見学しながら、自身の未来を考える機会を提供する。



