伊勢神宮の式年遷宮へ「慶光院曳」、内宮にヒノキを運ぶ特別な陸曳
伊勢神宮の式年遷宮(2033年)に向けて、伊勢市で行われている民俗行事「お木曳(きひき)」の中でも、内宮正殿の扉に使用されるヒノキを運ぶ「慶光院曳」が5月31日に実施された。磯町慶光院奉曳団の団員ら約1800人が「エンヤー」の掛け声とともに、市街地約9キロを練り歩いた。
式年遷宮の歴史と慶光院の功績
式年遷宮は戦国時代の資金難により、1400年代から1500年代にかけて120年以上中断していた。しかし、慶光院上人と呼ばれる尼僧たちが全国を巡って資金を集め、遷宮を復活させた。その功績により、現在の伊勢市磯町が慶光院の領地となり、内宮の御扉木を運ぶ栄誉が与えられた。通常の陸曳(おかびき)は宮川河川敷から外宮までの約2キロだが、今年のお木曳では唯一内宮に運び入れる特別な陸曳となっている。
奉曳の様子
慶光院曳には、神宮の久邇朝尊大宮司や斉藤郁雄少宮司も参加した。長さ約5メートル、直径約70センチのヒノキを載せた奉曳車は、高さ約4.9メートル、綱の長さは約400メートルに及ぶ。出発式では、慶光院家を代表して18代当主の利映さん(80)が慶光院曳の由来を説明し、「準備に尽力いただき感謝している。けがのないようにお願いしたい」とあいさつした。
午前6時に宮川のほとりを出発した団員らは、外宮と内宮を結ぶ御幸道路や、おかげ横丁があるおはらい町通りを経由し、約13時間かけて内宮近くの宇治工作所に到着した。途中の神宮徴古館や内宮宇治橋前では、伊勢音頭やお木曳音頭に合わせて踊りを披露した。
奉曳を終えた榎原克博団長(62)は「皆さんに助けられ、安全に運ぶことができて感無量だ。後世に引き継いでほしい」と話した。(文・新良雅司、写真・大金史典)



