通勤専用駅?名鉄築港線・東名古屋港駅、潮風と重油の匂いが漂う終着駅の日常
通勤専用駅?名鉄築港線・東名古屋港駅の日常

愛知県名古屋市港区にある名鉄築港線の終着駅、東名古屋港駅。平日の朝8時過ぎ、2両編成の電車が到着すると、満員の車内から多くの通勤客が一斉に降り立ち、横断歩道や歩道橋を渡って近隣の工場やビルへと吸い込まれていく。発車のベルが鳴り響くと、空っぽになった電車はもう一つの終点である大江駅へと戻っていった。時刻表を見ると、次の電車が来るのは、乗客たちが帰宅し始める8時間後までないようだ。

通勤専用駅の実態

「ここは通勤のためだけの駅と言っても良いですよ」。朝、片側だけの小さなホームのベンチに座っていた39歳の男性会社員が語る。彼はこの駅を利用して10年になるという。「利用しているのはほぼ近くの会社の人だと思います」。そう話すと、出勤時刻が迫ったのか、彼は急ぎ足で歩道橋を駆け上がっていった。

駅周辺には、三菱重工業や東レなどの大規模な製造開発拠点が密集している。日中は歩行者をほとんど見かけず、近くの幹線道路を走るトラックの「ガタンガタン」という音だけが響く静けさが広がる。

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短い路線と無人駅

通勤に特化した築港線は、名鉄常滑線と接続する大江駅から東名古屋港駅までの約1.5キロを3分で結ぶ、わずか2駅だけの短い路線だ。東名古屋港駅には改札口すらなく、運賃精算は起点の大江駅で行われる。無人駅であり、電車が発着する朝夕のみ大江駅から駅員が派遣されている。

地元住民の声と歴史

駅南側で食堂「藤屋」を営む加藤好邦さん(89)は、「60年以上店をやっているが、自分は東名古屋港駅から乗ったことはない」と話す。代わりに、近くにあった昭和町停留場を終点として1974年まで走っていた名古屋市電の写真を見せてくれた。かつては路面電車がこの地域の交通を支えていた時代があったのだ。

鉄道ファン注目のスポット

東名古屋港駅は、周辺に鉄道の線路同士がほぼ十字に交わる、全国的にも珍しい「ダイヤモンドクロッシング」が残っていることでも知られる。駅から約400メートル東側で、新造された鉄道車両を年に数回運ぶために使われる名古屋臨海鉄道東築線が築港線と交差しており、鉄道ファンの熱い視線が注がれている。

駅舎を過ぎて大江ふ頭の岸壁までまっすぐ延びる貨物輸送用の線路も、港町の終点駅ならではの風景だ。ほのかな潮風と重油の匂いが混ざり合い、独特の雰囲気を醸し出している。

東名古屋港駅の概要

東名古屋港駅は、1924年(大正13年)、名古屋鉄道の前身である愛知電気鉄道により「西六号駅」として開業。8年後に現在の駅名に改称された。名鉄によると、1日あたりの平均利用者数は4087人(2024年度)で、そのほとんどが通勤客と見られる。

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