福井県立大学大学院1年の石田律貴さん(22)が、持続可能な漁業の研究を続ける傍ら、同県若狭町で空き家を改装し、一棟貸しの宿泊施設「WAKASA蔵の宿」を経営している。幼少期に漁家民宿に魅了されたことがきっかけで、大学入学後に開業。地元の漁師と共に船に乗り、獲れたての魚介類を宿泊客に提供している。
宿泊施設の詳細
「WAKASA蔵の宿」は、築46年の木造2階建てを改装。14畳の大広間と7つの個室があり、1人から15人まで宿泊可能。1泊2食付きの海鮮コースは1人1万5000円。石田さん自身が漁で獲ったタイなどを調理し、県内各地の市場でホタルイカやカニも仕入れている。子ども連れの宿泊客には釣りや魚さばき体験教室を開催。昨年からは県外の修学旅行生も受け入れている。
開業の経緯
石田さんは大阪府箕面市出身。父親の影響で釣りを始め、高校時代は百貨店の鮮魚店に通い魚を観察。店主から養殖魚の味がエサで変わることを学び、「世界で一番おいしい魚をつくりたい」と魚類研究を志した。幼少期に若狭町の漁家民宿を訪れ、定置網漁の迫力に圧倒された経験から、2022年には福井県立大学海洋生物資源学部の先端増養殖科学科に1期生として入学。1人暮らしの家を探す中で、親名義で空き家を購入し、敷地内の蔵で生活しながら2022年冬に週末限定で宿を開業。昨冬からは平日も営業している。
研究と今後の展望
大学時代は純小浜産カキの試験養殖に携わり、現在は大学院生として漁家民宿のインバウンド誘客の可能性を研究。地元業者と共にカキのPRにも取り組む。大学院修了後も宿を続ける予定で、「若狭の海の恵みを多くの人に食べてほしい。生産者の課題を解決するためにできることは何でもしたい」と語る。
漁業の現状と課題
全国的に漁業者は減少傾向にあり、1963年の62万5千人から2023年には12万1千人に減少。65歳以上が約4割を占める。漁家民宿も2008年の1632軒から2023年には533軒に減少。福井県が107軒で最多だが、若狭町では57軒と全国最多ながら、全盛期の147軒から約6割減。水産庁は新規就業者の定着には理解促進や指導方法の確立が重要と指摘。若狭町の担当者は「若狭湾の特産をアピールしてくれる若者は大歓迎」と期待を寄せる。



