野口王墓古墳の名称問題 天武・持統天皇陵としての表記に考古学的な違和感
野口王墓古墳の名称問題 天皇陵表記に違和感

世界遺産候補の古墳で浮上する名称問題

奈良県明日香村、橿原市、桜井市にまたがる「飛鳥・藤原の宮都」は、世界遺産登録を目指す重要な歴史的遺産群です。その構成資産の一つに、同村に位置する「天武・持統天皇陵古墳」が含まれています。この古墳は、天武天皇と持統天皇が合葬された終末期古墳として知られていますが、その名称に対して考古学的な違和感が指摘されています。

複数の名称が混在する現状

考古学的な正式名称は「野口王墓古墳」であり、宮内庁は「檜隈大内陵」として管理しています。宮内庁が管理する古代天皇陵の多くは、被葬者と陵墓名が一致していないのが実情です。そのため、新聞報道などでは古墳名を主表記とし、宮内庁指定の陵墓名を括弧付きで併記するケースが一般的となっています。

野口王墓古墳の場合、中世の盗掘記録から被葬者が天武・持統天皇であることがほぼ確実視されています。このことから、「天武・持統天皇陵」として表記しても問題ないはずであり、わざわざ「古墳」を付加するのは蛇足ではないかという意見があります。より適切な表記として、「野口王墓古墳(天武・持統天皇陵)」が提案されています。

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現場の案内板にみられる不一致

現地に設置されている案内板には「天武・持統天皇陵古墳」と記載されていますが、説明文の中では「段ノ塚古墳(舒明天皇陵)」や「御廟野古墳(天智天皇陵)」といった異なる表記が混在しています。このような整合性の欠如は、訪問者に混乱を与える可能性があります。

八角形墳としての特徴と未調査部分

野口王墓古墳は八角形墳であることが判明しており、真の斉明天皇陵とされる牽牛子塚古墳と同様に、八角形の石積み外観を持っていたと推測されています。墳丘の周囲を巡ると、落ち葉の間から石材が露出している箇所が複数確認できます。未調査のため確実なことは言えませんが、これらは本来の八角形墳の石積みが現れている可能性が高いと考えられています。

世界遺産における名称問題の重要性

大阪府の世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」では、大山古墳が「仁徳天皇陵古墳」として登録されています。しかし、学術界からは「被葬者が仁徳天皇であるかは確定していない」として、学術的名称の併記を求める声が上がっています。名称の問題は、単なる呼称の違いにとどまらず、歴史的遺産の透明性や公開性、正当性にも深く関わる重要な課題です。

考古学的正確性と歴史的認識のバランスをどのように取るかが、今後の課題となっています。世界遺産登録を目指す過程で、名称の統一と明確化が求められるでしょう。

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