原爆症認定で国に勝訴した松谷英子さんの半生を描くデジタル紙芝居が公開
松谷英子さんの半生を描くデジタル紙芝居が公開

原爆症認定で国に勝訴した松谷英子さんの半生を描くデジタル紙芝居が公開

原爆症認定を求めて国を提訴し、最高裁で勝訴した被爆者の松谷英子さん(84)の半生を描いたデジタル紙芝居の動画が、YouTubeで公開されています。この動画は、原爆の深刻な被害を「もう二度と、誰にも味わわせたくない」との思いを込めて制作され、松谷さんの12年間にわたる裁判の軌跡や被爆体験を伝えています。

松谷英子さんの被爆体験と裁判の経緯

松谷さんは3歳の時、長崎の爆心地から約2.4キロの地点で被爆しました。爆風で飛ばされた屋根の瓦が左後頭部に当たり、右半身がまひする重い障害を負いました。1988年、原爆症認定の申請を国に却下されたことを違法として、処分の取り消しを求めて長崎地裁に提訴。2000年7月、最高裁が松谷さんの請求を認めた1、2審判決を支持し、判決が確定しました。

デジタル紙芝居の制作背景と協力者たち

デジタル紙芝居は、50年以上の付き合いがある長崎原爆被災者協議会(被災協)の副会長、横山照子さん(84)が企画しました。被災協の被爆80年の取り組みの一環として制作され、松谷さんが施設で暮らす中で、横山さんは「脱帽するほどの努力の軌跡を、松谷さんは自ら語れない状況になった。何か後世に残せるものにしなければと提案した」と語っています。

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証言を聞き取り、地元紙の記者がシナリオを作成し、被災協のメンバーや高校生らが協力して制作されました。イラストを描いた西岡由香さん(61)は、松谷さんがそろばんを扱う場面で指の曲がり具合を正確にするため、やりとりしながら絵コンテを修正したと述べ、「指はもっと反るんだと話してもらった。障害の状態を絵でリアルに伝えてほしいという熱意だと思った」と振り返っています。

紙芝居の内容と平和へのメッセージ

紙芝居「この傷が痛むんです」の動画は約23分で、原爆でまひが残る被害に遭ったことや、小学生の時にいじめを受けた経験、珠算検定への挑戦、就職などのエピソードに加え、最高裁まで12年間続いた裁判の様子が描かれています。動画は「もう二度と再び、広島、長崎のような被害をどこの国の人たちにも味わわせたくないのです」との言葉で結ばれ、松谷さんのインタビューも収録されています。

昨年12月に上映会が行われた際、松谷さんは国を相手に裁判をしようと思った心情について、「原爆で障害を負ったのが、どうしても悔しくて、たまらなかったから」と語りました。紙芝居はYouTubeでの配信に加え、修学旅行生などを対象にした平和学習などに活用される予定です。松谷さんは「戦争になるとひどいことが起こる。若者を含めて紙芝居を見た人たちに戦争をなくすことが一番だと伝えたい」と訴えています。

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