伊那市立高遠町図書館、江戸時代の歴史的史料をデジタル公開
生類憐みの令やキリシタン取り締まり、黒船来航など、高校の日本史教科書でおなじみの江戸時代の出来事を、郷土の歴史と結びつけて学ぶ機会を提供しようと、伊那市立高遠町図書館が古文書のデジタル化プロジェクトを進めています。同図書館は、デジタル化した史料に読み下し文や解説文を付加し、ホームページで公開を開始しました。市は「授業の教材として積極的に活用してほしい」とアピールしています。
デジタル化の背景と選定された史料
旧高遠藩の政治・行政の中心地であった高遠地区には、多くの古文書が残されています。同図書館では2022年度から本格的にデジタル化に取り組み、今回、完了した史料の中から、日本の歴史的な出来事に関連する18点を選びました。上伊那地域の教員の協力を得て解説文を作成し、教育現場での利用を促進するため公開に踏み切りました。
生類憐みの令に関する高札の下書き
選ばれた史料の一つは、5代将軍徳川綱吉が1685年に発した「生類憐みの令」に関する高札の下書きです。この文書は、病気や年老いた馬を山野に捨てる「捨て馬」を禁止する内容で、当時、馬が農耕や輸送に不可欠な存在でありながら、こうした行為が横行していた背景を解説しています。
キリシタン札と幕府の強い意志
「キリシタン札」の史料は、江戸幕府がキリスト教禁止政策の一環として、信者根絶のために賞金を設け密告を奨励した定めを示しています。1682年に出されたこの高札は、島原の乱から40年以上経てキリシタンがほぼ壊滅していた時代にもかかわらず、明治まで全国の高札場に掲げられ、幕府の強い意志を物語っています。
黒船来航の似顔絵と配置図
黒船来航に関する史料には、1853年に浦賀沖に現れたペリー提督の似顔絵や上陸時の配置図が含まれます。当時の瓦版や錦絵には、教科書の肖像画とは異なる珍奇な描写が見られ、この似顔絵はそれらを模写したものと推測されます。また、飯田の高遠藩士が黒船の知らせを受けて出府した記録も紹介されています。
教育への活用と今後の展望
白鳥孝市長は「学校で教材として活用することで、教科書で学ぶ歴史が地域にどう伝わったかを理解し、古里への愛着を深めるきっかけになる」と期待を寄せています。同図書館は公開史料をさらに充実させる計画で、授業などでの使用には申請が必要です。問い合わせは同図書館(0265-94-3698)まで。



