室町時代から続く奈良・川上村の伝統儀式、過疎化で存続の危機
奈良県川上村で、室町時代から続く歴史的な儀式「御朝拝式(おちょうはいしき)」が、過疎化による担い手不足と維持費の確保困難という難題に直面しています。村はこの伝統を守るため、用具の修理費として110万円をクラウドファンディング(CF)型ふるさと納税で募集することを決定しました。寄付の受け付けは2月27日までとなっています。
569回目を迎えた御朝拝式の執り行い
標高440メートルの山深い川上村神之谷の金剛寺では、今月5日に569回目となる御朝拝式が執り行われました。「出仕人」と呼ばれる各地区の代表者や保存会役員ら約20人が、十六弁菊紋の裃や紋付き袴をまとって臨み、自天王の遺品と伝わる武具が収められた宝物庫の扉を開けて拝礼し、玉串をささげました。自天王神社や陵墓も参拝し、厳かな儀式が続けられています。
自天王の歴史と文化財指定
自天王は南朝の後亀山天皇のひ孫とされ、吉野の山中に身を隠して南朝再興を願っていましたが、1457年に18歳で北朝側に暗殺されたと伝えられています。村人が遺骸を取り戻して金剛寺にまつり、遺品の武具をひそかに守り伝えながら、新年の天皇拝賀にならって毎年、御朝拝式を執り行ってきました。「縹糸威筋兜」などの甲冑の一部は重要文化財、太刀などは村指定文化財で、儀式自体も村無形民俗文化財に指定される貴重な伝統です。
過疎化と維持費の課題
儀式は元々、自天王のかたきを討った村人の子孫で「筋目」と呼ばれる家系の長男が担ってきました。しかし、人口減少により維持が困難になり、2008年に保存会を設立して広く村民や村出身の男性に対象を広げました。また、基幹産業である林業の衰退で寄付も減少し、用具の修理費や衣装の借用代なども負担となっています。
修理費110万円の募集とグッズ企画
村は、当面必要な概算費用を322万円と試算しています。特に、兜を収める厨子の中にある飾り台は獅子などの装飾が破損し、宝物庫の前面に掛かった御簾も傷みが進み、修繕が急務です。このうち110万円をクラウドファンディングで集めることにしました。番傘や提灯の修繕も必要で、今後も費用を募る予定です。
保存会は今回の儀式にあわせて、重要文化財の兜などをデザインしたフォトカードや焼き印入り杉升などのグッズを企画し、村内で3月から販売する予定です。これにより、伝統の継承を支援する新たな取り組みを進めています。
村関係者の意気込み
村の担当者は「村内外の人たちみんなで伝統を支える仕組みをつくっていきたい」と意気込んでいます。保存会長の中平繁和さん(78)は「少子高齢化が進む一方で先は見えないが、先人がつないできた形をなるべく守りながら、後世につなぐ努力をしていきたい」と話し、伝統継承への強い決意を示しました。
問い合わせは村総務税務課(0746・52・0111)まで。



