財布の歴史と流行:金運アップの黄色、長財布ブームの起源を探る
財布の歴史と流行:金運アップの黄色、長財布ブームの起源

「スマホがあれば、財布は不要」という言葉を最近よく耳にするようになった。しかし、「財」を「布」に包むという財布の起源はどこにあるのか。その謎を解き明かすべく、まず日本銀行分館の貨幣博物館(東京都中央区)を訪れた。

財布の起源をたどる

飛鳥時代の富本銭、奈良時代に流通した和同開珎、宋銭、明銭、江戸時代の寛永通宝、一分銀、藩札など、さまざまな貨幣とともに、財布も展示されていた。貨幣経済が庶民にまで浸透したのは江戸時代以降で、当時は布でお金を包み、口を紐で結わえた巾着型の財布が用いられていた。「財布のひも」という慣用句も、かつての巾着財布を思えば納得がいく。

展示されていた「紙入(かみいれ)」も江戸時代の財布の一種だ。布や革で作られ、鼻紙の束や薬などを入れて持ち歩くためのもので、お金も収納した。現代風に言えば、「ポケットティッシュ入れが小銭入れも兼ねる」ような感覚だろう。

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明治・大正期の朝日新聞を調べてみると、紙入からお金を盗まれたという記事のほか、「懐中紙入」の商品広告も見つかった。挿絵に描かれた紙入は現代の長財布とよく似た形で、華やかな柄が施されていた。

袋物から財布へ

服飾雑貨業界コンサルタントで財布の歴史に詳しい川崎智枝さん(57)によると、小物を持ち運ぶための「袋物」は古代から存在する。アルプスの氷河で見つかった「アイスマン」と呼ばれる5300年前の男性も革袋を持っていたという。江戸時代の日本では、飛脚などが帯に付ける丈夫な革財布「早道」が重宝され、明治に入ると西洋の革財布やがま口に使われる口金が伝わり普及した。

バブル後の財布市場の変遷

日本の財布市場では、バブル崩壊後の1990年代に海外ブランドの人気が一段落し、国内メーカーがデザインや収納力、機能性、物語性などの付加価値を高めた製品を台頭させた。「開運財布」もその一つで、1990年代から2000年代にかけて「黄色や金色の財布は金運がアップする」と唱える「風水財布」が流行。2010年代には「お金を稼ぐ人は長財布を使う」という説が広まった。

川崎さんは「お金は人の思い通りにならないもの。財布選びに占いや自己啓発のような要素を取り入れる人が多いのは、そのせいもあるのでは」と分析する。

財布の流行と時代背景

昭和時代はシンプルな財布が主流だったが、1990年代以降は多色化が進み、震災の影響も受けてトレンドが変化してきた。記者(47)も自身の財布遍歴を振り返ると、時代の流れを感じさせる。

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