朝の立哨帰りに拾った一枝
小学校の児童を見守る立哨の帰り道、近くの小さな公園で長さ80センチほどの枝が地面に落ちているのを見つけました。枝の根元に小さな白いものが見えたため、何かに誘われるように拾い上げ、自宅へ持ち帰りました。
台所で育て始める
持ち帰った枝を数本に切り分け、瓶に挿して台所の目の前の棚に置きました。それから毎朝、枝に向かって「オハヨー」と声をかけ、成長の様子を観察し続けました。3月中旬ごろ、枝の一部が少し膨らんできたように感じ、記録のために写真を撮影しました。
「オハヨー」の日々
「オハヨー」と声をかける毎日は楽しいものでした。「エライネーがんばってるねー」と話しかける朝の会話が日課になりました。ある日、目を凝らすと枝の先端に丸いものが膨らみ始めているのに気づきました。「花芽だろうか?」と胸が高鳴り、その後の毎日はワクワクするものでした。すると、その膨らみはどんどん大きくなり、疑問符が取れて確かに花芽だと確信しました。
春を迎えた喜び
「がんばって春を迎えたね」と声をかけると、うれしさが込み上げてきました。拾ってきたときは、まさかこのような姿になるとは想像もしていませんでした。春を待っていたのに枝を折られてしまい、「拾って!」と私に呼びかけていたのだと思うと、あの時、私と枝の間には以心伝心の通じ合いがあったのだと感じます。
開花と感動
花芽はぐんぐん成長し、4月25日には3つの花が咲きました。それは桜の花でした。そのけなげな姿に、私はうれしさのあまり涙が止まりませんでした。「えらいえらい。いつか時が来て散っても、あなたは咲ききりました。えらい、そしてヨカッタネ」と心から称えました。この枝に出会い、拾ったときの記憶は決して忘れることはないでしょう。「ありがとう、大切なあなたの花を見せてくれて、本当にありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいです。
(中島美智子、85歳、埼玉県入間市)



