二階堂蓮、父の思い出の地で銀メダル獲得 逆境乗り越え「次は金メダル」と誓う
二階堂蓮、父の思い出の地で銀メダル 逆境を乗り越え

二階堂蓮、父の思い出の地で銀メダルを獲得 逆境を乗り越えたジャンパーの決意

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックで15日に行われたスキージャンプ男子個人ラージヒル(LH)において、二階堂蓮選手(24)が見事な銀メダルを獲得しました。幼い頃から「世界一になる」と信じ続けてきた彼は、大学中退やアルバイト生活といった困難な状況にも負けず、ついに五輪の舞台で輝かしい成績を収めました。今大会ですでに3個のメダルを獲得している新進気鋭のジャンパーには、さらなるチャンスが残されています。

直前の練習で感じた手応えと、悔しさを乗り越えた前向きな言葉

二階堂選手は、直前の練習で「銅メダルを獲得したノーマルヒル(NH)よりも良い色のメダルを取れる」という感触を抱いてLHに挑みました。決勝は2回の合計点で順位が決まります。1回目には140メートルを飛び、着地もきれいに決めて首位に立ちました。しかし、2回目では136メートル50と飛距離を伸ばせず、合計点295.0点で2位に終わりました。

直後には悔しさをにじませながらも、二階堂選手は前向きに語りました。「三つもメダルを獲得できたのは、4年前の僕からしたら信じられない話なので、自分を褒めたいです」。この言葉には、長年の努力と逆境を乗り越えてきた自信が込められています。

父の影響と、ジャンプへの情熱が育まれた少年時代

北海道江別市出身の二階堂選手。父の学さん(59)は、今大会と同じイタリア・プレダッツォの会場で開催されたスキージャンプの世界選手権出場経験者です。学さんに連れられ、小学2年生の時に地元の手作りのジャンプ台で初めて飛んだ二階堂選手は、遠くまで飛んでいけるような感覚に一気にのめり込みました。

それからは毎週日曜、学さんと一緒に隣接する札幌市内のジャンプ台へ通うようになります。帰りの車中ではいつも、学さんから「おまえは世界一になるんだ」というおまじないのような言葉をかけられていました。この言葉が、後の逆境を乗り越える原動力となったのです。

学さん仕込みの技術と、順調に見えたキャリアの転機

学さん仕込みの低い姿勢からの飛び出しを武器に、二階堂選手は中学3年で全日本ジュニアのメンバーに選出されました。高校は親元を離れ、道内のジャンプ強豪校である下川商業高に進学。高校3年時には高校総体で優勝し、ワールドカップ(W杯)にも出場するなど、世代の先頭を走りました。

高校卒業後は、実業団でジャンプを続けるつもりでしたが、どこからも声がかからず、進学した東海大もコロナ禍で学業との両立が難しく、1年で退学しました。この時、二階堂選手は自らに課した1年の期限を設け、派遣アルバイトで生活費や活動費を捻出しながらジャンプの練習を続けました。

逆境の中でも揺るがなかった「世界一になる」という信念

所属先に何かあてがあって大学を辞めたわけではありません。自身のSNSに「1年間ジャンプをやって所属先が見つからなかったら引退することも覚悟している」と投稿したこともあります。金銭面の負担を考え、自らの逃げ道をなくし、覚悟を決めて全力を尽くそうと考えたからです。

田植えやライブ会場の設営など、さまざまなアルバイトを経験する中でも、「世界一になるという目標はぶれなかった」と二階堂選手は振り返ります。この強い信念が、後の飛躍につながりました。

所属先が決まり、着実に実績を積み重ねる

所属先が決まったのは、自らに課した1年の期限が迫った2021~22年シーズン最終盤の頃でした。2022年の北京五輪には出場できずに悔しい思いもしましたが、スキー部を新設した日本ビール(東京都目黒区)の第1号部員になりました。

2022年10月のNHK杯で優勝、2023年に世界選手権に初出場するなど、着実に実績を積み重ねてきました。今シーズンのW杯では初優勝を含め、個人で表彰台に7回上がるなど、一躍メダル候補としてミラノ・コルティナ五輪に乗り込みました。

父に抱きついて流した涙と、次への決意

蓮という名前は母方の祖父が名付けました。蓮(ハス)は泥の中から清廉な花を咲かせる植物です。アルバイト生活などの逆境を乗り越え、今大会では「銀」と「銅」の輝く花を咲かせることができました。それも、学さんがかつて戦った地でです。

五輪前、現地に来るか悩んでいた学さんに「お金を出すから来てほしい」と頼んだ二階堂選手。NHの時は学さんと熱い抱擁で喜びを分かち合いましたが、LHの試合後は抱きついて悔し涙を流しました。「次は絶対に金メダルを見せたい」という言葉には、さらなる高みを目指す決意が込められています。

その視線はもう、16日(日本時間17日未明)に行われる男子2人1組の新種目、スーパー団体に向いています。逆境を乗り越え、父の思い出の地で銀メダルを獲得した二階堂蓮選手のさらなる活躍に、期待が高まります。