ミラノ五輪で日本選手団への誹謗中傷6.2万件、団長「想定以上の件数、選手の力を奪う」
ミラノ五輪で日本選手団への誹謗中傷6.2万件、団長が訴え

ミラノ五輪で日本選手団への誹謗中傷6.2万件、団長が「想定以上の件数」と危機感

ミラノ・コルティナオリンピックの日本選手団は13日、ミラノ市内で記者会見を開き、SNSなどを通じた選手らに対する誹謗中傷問題について詳細を明らかにしました。日本オリンピック委員会(JOC)の監視体制によると、1月18日以降、中傷が含まれる約6万2000件の投稿が確認され、そのうち1055件の削除を要請し、198件が実際に削除されたことが報告されました。

AIを活用した24時間監視体制と法的措置の準備

JOCは選手や関係者を保護するため、現地に要員を配置し、イタリアと日本の双方でAI(人工知能)を活用した対策を強化しています。SNSやインターネットのポータルサイトを24時間監視し、不適切な投稿の削除要請を迅速に行っています。さらに、選手らの意向を尊重し、必要に応じて法的措置に向けた支援も提供する方針です。

今大会では、大会直前に負傷して欠場が明らかになった選手が、SNSで集中的な中傷を受ける被害が確認されています。このような事例は、過去の五輪やパラリンピックでも繰り返されており、国際的な課題となっています。

過去の大会での対策と限界

2024年パリ五輪では、国際オリンピック委員会(IOC)も本格的な対策に乗り出し、選手のSNSに寄せられる暴言などをAIで検出するシステムを導入しました。同システムでは1日あたり約8万件の悪質な投稿を検知しましたが、被害の完全な防止には至りませんでした。

日本選手団も、大会中はSNSの投稿を控え、メッセージが届かない設定にするなどの対処法を選手に伝えていましたが、複数の代表選手が依然として被害に遭ったとされています。

選手への心理的影響と調査結果

JOCが2024年から2025年にかけて強化指定選手を対象に行った調査(818人が回答)では、不安や悩みについて尋ねたところ、39%が「SNSによる影響」を挙げました。また、ハラスメントに関する別の調査(622人が回答)では、11%が「SNS等を利用した『他人を傷つけるような投稿(誹謗中傷)』の被害に遭ったことがある」と回答しています。

これらの数字は、アスリートにとってSNS上の誹謗中傷が深刻な心理的負担となっていることを示しています。

伊東秀仁団長の緊急訴え

日本選手団の伊東秀仁団長は会見で、以下のように強い懸念を表明しました。

「毎日、想定以上の件数の対応に追われています。心ない言葉をアスリートに浴びせることは、彼らの尊厳を傷つけ、競技に集中する力を奪ってしまいます。こうした行為は即刻やめてもらいたい」

伊東団長は、選手のメンタルヘルスと競技パフォーマンスを守るため、誹謗中傷の防止が急務であると訴えました。

ミラノ・コルティナ五輪は、デジタル時代におけるアスリート保護の新たな課題を浮き彫りにしています。JOCは引き続き監視体制を強化し、選手が安心して競技に臨める環境づくりに尽力する方針です。