フィギュアスケートのペアで五輪金メダルを獲得した「りくりゅう」こと三浦璃来さん(24)と木原龍一さん(33)が28日、東京都内で引退会見を開いた。約60分間にわたる会見では、2人が互いに支え合い、努力を重ねてきた約7年間の軌跡が語られ、涙と笑顔が交錯する温かな雰囲気に包まれた。
涙で始まった会見、笑顔でなぐさめ合う
会見の冒頭、三浦さんがメッセージを読み始めると、木原さんの目が潤み始めた。それに気づいた三浦さんが「泣かないで、泣かないで」と笑顔でなぐさめると、約200人の報道陣も思わず笑顔に。新たな門出を前に、2人の絆の強さが感じられるスタートとなった。
ペア結成から信頼を築くまで
三浦さんと木原さんがペアを結成したのは2019年8月。当時、9歳年上の木原さんに対し、三浦さんは「話しかけにくいな」と感じるなど、最初から相性が良かったわけではない。しかし、カナダでの共同生活を通じて関係は変化した。木原さんは「どれだけ口でポジティブなことを言っても、行動が伴っていなければ信頼は生まれない。ずっと近くで努力する姿を見て、信頼につながった」と振り返る。三浦さんも「お互い思ったことは隠さずに伝える。信頼してくれるからこそ自分も信頼できる。そういった積み重ねだった」と語った。
引退を決意し、プログラム変更
昨季を終えた頃から引退を意識するようになった2人は、今季のフリープログラムを当初予定していた楽曲から、長年滑りたかった「グラディエーター」に変更。その曲で臨んだミラノ・コルティナ五輪で大逆転の金メダルを獲得した後、ひそかに「これで引退だね」と言葉を交わしたという。
「スケート人生を表す言葉」は「努力」
会見の終盤、2人は「スケート人生をひと言で表すなら」と問われ、そろって「努力」と答えた。三浦さんは「ペアを組むまでの努力がなければ、結成もなかった。結成後も互いに努力し合える仲になったので、つらいことも2人で乗り越えられた」と説明。木原さんも「やはり努力の一言だと思う」と同意した。
会見の一問一答
ペア結成から印象に残っている出来事は?
三浦:結成から3カ月で出場したグランプリシリーズ日本大会です。好スコアが出て、日本人同士のペアでも世界に通用するかもしれないという思いが芽生えました。
木原:やはりミラノ・コルティナ五輪が一番印象に残っています。個人戦ショートプログラムの本番でリフトのミスが出て、自分の気持ちも崩れてしまいました。どちらかというと僕が引っ張るタイプだと思っていましたが、璃来ちゃんが本当に引っ張ってくれました。璃来ちゃんがいなければあの試合はなかったと思います。
今後について
木原:プロとして活動させていただきます。現役中は機会が限られていたので、いろいろな場所を回ってペアの技をお見せしたいです。
未来のペアスケーターへ伝えたいこと
三浦:考え過ぎるとネガティブな部分も出てくると思うので、ペアはすごく楽しいんだよということを純粋に伝えたいです。
木原:第一に、楽しいんだよと伝えたいです。一人では乗り越えられない壁を、二人だと乗り越えられる時があります。ペアは楽しい競技ですが、技の習得には時間がかかります。一日、二日、一年、二年でうまくいかなくても、心が折れなくていい。続けていけば必ず花が咲く時があるんだよということを伝えていきたいです。
会見中、2人は何度も視線を交わし、丁寧に質問に答えていた。互いを思いやり、互いのために積み重ねた努力が、「りくりゅう」の絆を育んだことが如実に表れていた。



