16歳工藤璃星、ミラノ・コルティナ五輪で堂々の5位入賞
ミラノ・コルティナ冬季オリンピックは12日(日本時間13日)、スノーボード女子ハーフパイプ競技が行われ、工藤璃星選手(16歳・札幌市出身)が見事に5位入賞を果たしました。若きヒロインは大舞台で会場を沸かせる滑りを披露し、日本のメダルラッシュに続く輝かしい成績を残しました。
暫定4位からの奮闘、高得点で会場沸かす
工藤選手は暫定4位で迎えた2回目のランで、高さのある技を完璧に決めると、右手を高く上げて喜びを表現。1回目の点数を上回る81.75点をマークし、会場から大きな拍手を浴びました。決勝後には「メダルに届かず悔しいが、決勝で滑れたのは今まで支えてくれた人たちのおかげ」と感謝の言葉を口にしました。
スノーボード一家で育った天性の才能
工藤選手の父・佳人さん(58歳)は、平野歩夢選手や今井胡桃選手など世界で活躍するトップ選手を育ててきた指導者です。兄の洸平さん(36歳)は2010年バンクーバー五輪の男子ハーフパイプに出場しており、まさにスノーボード一家で育ちました。実家近くには父が手作りした練習施設があり、工藤選手は自然と3歳でスノーボードを始めました。
小さい頃から父が選手たちと行う合宿に連れて行ってもらい、間近でトップレベルの滑りを見ては「私もあのレベルに追いつきたい」と必死に食らいつきました。祖母の家に飾ってある兄が五輪で着たビブスを眺めては「私も将来、絶対に五輪に出る」と刺激を受け、その夢を叶えました。
ひたむきな練習で築いた独自スタイル
身長150センチ超と小柄な体ながら、天性の瞬発力と足腰の強さを備える工藤選手。しかし、同じ練習をいくらでも続けられるひたむきさが最大の武器です。小学3年から大会に出始めると、19~22年のジュニア五輪を3連覇(20年はコロナ禍で中止)、23年の全日本選手権で優勝するなど、華々しい成績を残してきました。
今大会で一緒に出場し4位になった同学年の清水さら選手(16歳)は「璃星は一歩も二歩も先の技を持っていて、周りの選手とは違うスタイルで他の人を圧倒していた」とその独自性を評価しています。
大けがを乗り越え、自信をつけた転機
工藤選手が自分の滑りに自信をつけたのは、24年2月に韓国で開催された冬季ユース五輪でした。その前年、米国での練習中に着地に失敗し、足を骨折する大けがを負っていました。約7か月間はハーフパイプで滑ることができず、雪上に戻ったのは大会直前だったのです。
大きな不安を抱えたまま挑んだ大会で、2回転半の大技を成功させて優勝を手にしました。「どんなことが起きても、頑張ればなんとかなる」と気づけた大会でもあり、その経験が今回の五輪での活躍につながりました。
競技以外では美容師志望のおしゃれ好き
競技を一歩離れれば「将来は美容師になりたい」と話すほどのおしゃれ好きです。小学生時代からメイクをしたり、妹のヘアアレンジをしたり。遠征先では清水選手の髪の毛を切ることもあるほどです。
しかし、競技になると表情は勝負師の顔に一変します。五輪は自分を成長させてくれる舞台になったと語る工藤選手。「誰かのまねをしたり、憧れたりするのではなく、自分だけのスタイルを作っていきたい」と力強く宣言しました。
まだ16歳の若きヒロイン。ミラノ・コルティナ五輪での5位入賞は、彼女の夢の始まりに過ぎません。美容師という将来の夢を持ちながら、スノーボードの世界で独自のスタイルを築いていく工藤璃星選手の今後の活躍がますます期待されます。