ミラノ五輪男子フィギュアで奇跡の逆転劇、マリニンの過密日程が課題に
2026年ミラノ・コルティナオリンピックで13日に行われた男子フィギュアスケートのフリー演技は、予想を超える展開で観客を沸かせた。金メダル候補と目されたイリア・マリニン(アメリカ)と鍵山優真(オリエンタルバイオ)の対決に注目が集まる中、ミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)が難易度を上げた攻めの構成で逆転勝利を収め、五輪ならではの奇跡の瞬間を演出した。
鍵山優真の確かな技術と挑戦
鍵山優真はショートプログラムとフリーの両方で、スピンとステップに最高レベルの評価を得て、その確かな技術力を発揮した。今シーズン初めて4回転フリップをプログラムに組み込んだことは、マリニンという圧倒的な存在に対抗するための必要な挑戦だった。シーズン当初から五輪を見据えて準備を進め、フリーでは転倒したものの、体をしっかりと締めてジャンプを成功させた。その後も丁寧に技を積み重ね、音楽との調和を大切にしながら滑り切った姿勢が光った。
マリニンの挑戦と重圧
一方、イリア・マリニンはクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を含む7本の4回転ジャンプで挑むという異次元の構成を選択し、準備は万全に見えた。しかし、4回転ジャンプを連発する高難度のプログラムゆえに、ミスが生じると焦りが生まれ、立て直しが難しい状況に陥った。マリニンは世界選手権を連覇し、年齢的にも絶好のタイミングで迎えたこの大会で、偉業達成への大きな期待を背負っていたが、その重圧が影響した可能性もある。
団体戦の日程と課題
特に注目すべきは、マリニンが団体戦から個人戦まで中1日で戦い、1週間で合計4回の出場を強いられた点だ。この過密な日程は、五輪の特殊な重圧と相まって、選手のパフォーマンスに影響を与えた可能性が指摘されている。2022年北京大会金メダリストのネーサン・チェン(アメリカ)も、初五輪となった2018年平昌大会では五輪の独特な状況に飲まれた経験があり、マリニンのケースはその難しさを改めて浮き彫りにした。
この状況を踏まえ、トリノ五輪金メダリストのコメントも引用しながら、団体戦のあり方や日程の見直しを検討する機会が求められている。五輪は奇跡が起こる場であると同時に、選手の負担を軽減するための制度改善が急務であることを示唆する結果となった。