愛知と宮城を結ぶ震災伝承支援、縁が生んだ1千万円の寄付
災害支援の認定NPO法人「レスキューストックヤード」(名古屋市)は、新年度から3年間にわたり、総額1千万円を東日本大震災の伝承活動に取り組む公益社団法人「3・11メモリアルネットワーク」(宮城県石巻市)に寄付することを決定しました。この支援は、長年にわたる現地活動で築かれた縁をきっかけとして実現し、震災体験の継承と防災啓発の強化を目指しています。
七ケ浜町での活動が生んだ深い絆
レスキューストックヤードは、栗田暢之代表理事(61)が震災の5年前に災害ボランディア講座の講師として宮城県七ケ浜町に招かれたことを契機に、震災直後から同町を拠点に支援活動を展開してきました。ボランティア拠点として建設された建物は、その後、地域の居場所として活用され、現在は町が運営を引き継いでいます。
今回の寄付には、人との縁も大きく関わっています。新プロジェクトの中心となる同ネットワーク職員の若生遥斗さん(23)は七ケ浜町出身で、中学時代にレスキューの支援拠点で職場体験を経験しました。当時、地域の交流会で震災が話題になった際、家族や家を失った参加者が席を立つ姿を目撃し、復旧が進む町でも心の傷が癒えない現実を痛感。これがきっかけで震災に関心を持ち、復興支援ボランティアを続け、2024年10月には同ネットワークに転職しました。
施設活用と伝承プロジェクトの具体的内容
七ケ浜町では、レスキューがかつて拠点としていた施設の活用方法が課題となっており、若生さんはこの施設を記憶の伝承と防災啓発の拠点として再生したいと考えています。レスキューは、縁のある若生さんの活動を支援するとともに、南海トラフ地震を想定した震災からの学習継続を目的に、市民からの寄付金をプールした基金から寄付を決断しました。
プロジェクトでは、伝承施設としての再整備を進め、震災に関する資料の展示を強化します。被災住民の証言は新たに動画撮影してアーカイブ化し、各地からのスタディーツアー受け入れも拡大する予定です。震災から15年となる3月10日には、両団体や町長らが参加するキックオフセレモニーが開催されます。
関係者の熱い思いと今後の展望
若生さんは「あの施設があったから今の自分がある。少しでも恩返しをしたい。活動を通じて、震災を自分事として捉えてもらえたら」と意気込みを語ります。一方、栗田代表理事は「七ケ浜での支援活動が若生君という形で芽を出したことに感慨があり、初めての寄付に至った。災害から命や暮らしをどう守るか、彼なりの行動で花を咲かせてほしい」とエールを送っています。
さらに、レスキューはこの伝承活動を広く知ってもらうため、活動資金を募るクラウドファンディングも開始しました。目標額は100万円で、受け付けは4月11日まで続けられます。この取り組みは、愛知と宮城を結ぶ絆を深め、震災の教訓を未来に伝える重要な一歩となるでしょう。



