能登地震で被災の老舗旅館「加賀屋」解体へ 和倉温泉の復興は道半ば
能登地震で被災の加賀屋解体へ 和倉温泉復興は道半ば

能登半島地震で被災の老舗旅館「加賀屋」が解体へ

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県七尾市の和倉温泉にある老舗旅館「加賀屋」が、4月から解体されることが明らかになった。この温泉郷では現在、営業を再開している施設が半数以下にとどまっており、復旧への道のりはまだ半ばにある状況だ。かつて能登観光の象徴として親しまれた加賀屋は、近隣の場所で2年後の新旅館開業を計画しており、地域全体の復興をけん引する役割を目指している。

「おもてなし日本一」の歴史に幕

加賀屋は1906年(明治39年)に創業し、七尾湾を一望できる海沿いに立地する。4棟の建物から構成され、合計233室を有していた。観光業界の専門紙が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」では、もてなし、料理、施設、企画の4部門を総合した首位を何度も獲得し、「おもてなし日本一」として広く知られていた。

しかし、能登半島地震により、外壁や柱に亀裂が生じたほか、近くの護岸が崩壊して海水が流入するなどの被害が発生。建物は中規模半壊と判定された。地下の電源設備や温泉ボイラーの損傷に加え、建築費の高騰も重なり、同じ場所での営業再開を断念せざるを得なかった。このため、公費を活用した解体に踏み切ることになったという。

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解体前の公開で明らかになった被害の実態

解体工事を前に、3月26日には本館に当たる「能登渚亭」の1階部分が公開された。最上階まで続く吹き抜けの床には、窓ガラスや壁の破片が散乱しており、直撃を受けた机は割れ、金属製の脚が曲がった状態で残されていた。この光景は、地震の激しさを物語っている。

同日、渡辺崇嗣社長は従業員ら約200人とともに、工事の安全を祈る神事に参列した。渡辺社長は「思い入れのある建物はなくなりますが、『笑顔で気働き』という加賀屋のモットーを忘れず、未来に向けて再出発します」とあいさつし、新たな一歩を踏み出す決意を示した。

5年かかる解体と復興への展望

解体工事は約5年かかる見通しで、今後は慎重に進められる予定だ。一方、和倉温泉全体では、営業再開した施設が半数以下と、復旧が遅れている現状がある。地域の観光産業を支えてきた加賀屋の解体は、復興の過程における大きな転換点と言える。

加賀屋は、近隣の場所で2年後の新旅館開業を目指しており、これが地域全体の復興を後押しする役割を果たすことが期待されている。渡辺社長は、従業員とともに「おもてなし」の精神を引き継ぎ、新たな旅館で再び訪れる人々を迎え入れる準備を進めている。

能登半島地震から2年が経過した今も、被災地では復興への道のりが続いている。加賀屋の解体と再建は、その過程における重要な一歩であり、地域の再生に向けた希望の光として注目されている。

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