震災の記憶を未来へつなぐ「思い出の品」返却事業
東日本大震災の被災地で、津波で流された写真やランドセルといった「思い出の品」の返却事業を担う岩手県陸前高田市の三陸アーカイブ減災センターが、事業継続に向けた新たな取り組みを始めている。国の補助金が2025年度で終了するため、民間企業との連携による持続可能な運営モデルを模索している。
「宝物」としての思い出の品
同センターの秋山真理代表理事は、「思い出の品は家族にとって宝物であり、生きてきた証しです」とその意義を強調する。震災から時間が経過したことで、ようやく写真を見られるようになった人や、幼少期の写真を探す若者もおり、今もなお多くの人々がこれらの品を必要としているという現状がある。
これまでの実績と課題
センターによれば、これまでに津波で一時流された写真約20万~30万枚、物品4千点以上を収拾し、そのうち7~8割ほどを所有者に返却してきた。しかし、他の被災地では保管場所の確保などの問題から事業を終えるケースが増えており、持続的な運営が課題となっている。
民間との連携に向けた動き
2月初旬、同センターは東京都港区でワークショップを開催。NECプロボノ倶楽部のメンバーら約30人を前に、秋山代表が事業の重要性を訴えた。参加者からは「保管場所をコミュニティーづくりの広場にしてはどうか」といった具体的な提案も出され、民間の知恵を借りた新たな可能性が探られた。
未来への展望
秋山代表は、「国の支援が終わっても、被災者の方々のニーズは続いています。民間企業との連携を通じて、この大切な事業を継続していきたい」と意欲を示している。震災の記憶を風化させず、未来へつなぐための取り組みが、新たな段階を迎えている。



