首都圏帰宅困難者515万人の教訓、革靴で20km歩いた体験と群衆雪崩の危険性
帰宅困難者515万人の教訓、革靴で20km歩きの痛み

首都圏帰宅困難者515万人の衝撃、革靴で20キロ歩いた体験が語る教訓

東日本大震災から15年が経過した今も、首都圏で約515万人が帰宅困難に陥った事実は、防災対策における重要な課題として浮き彫りになっています。当時、埼玉県さいたま市に住んでいた会社員(48歳)は、渋谷区の職場で地震に遭遇し、鉄道が停止したため、革靴で20キロ以上を歩いて帰宅を試みました。

「あの時の足腰の痛みは今も忘れられません。途中で動くだろうと期待して歩き始めましたが、復旧の見通しは立たず、ごった返す道を進むしかありませんでした」と彼は振り返ります。寒空の中、5時間待ってようやくタクシーに乗り、自宅に着いたのは翌朝だったといいます。

群衆雪崩の危険性と専門家の警鐘

東日本大震災当日、JR東日本が首都圏の全路線を終日運休するなど、鉄道網が麻痺したことで、内閣府の推計では帰宅困難者が約515万人に上りました。東京大学の広井悠教授(都市防災)は、首都直下地震が発生した場合、約600万人が一斉に徒歩で帰宅すると想定し、歩行者密度を試算しました。

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その結果、東京駅や新宿駅周辺では、電話ボックス大の1平方メートルに6人以上が密集する可能性が判明し、2022年に韓国ソウルで150人以上が死亡した雑踏事故のような「群衆雪崩」の危険性が指摘されています。広井教授は「災害の規模が大きいほど人々の心理も乱れ、事故のリスクが高まります。帰宅困難の問題を軽視すべきではありません」と警鐘を鳴らしています。

震災後の対策と新たな課題

震災を機に、東京都は一斉帰宅を防ぐため、企業に対して従業員向けの水や食料の備蓄を努力義務とする条例を制定し、一時滞在施設の確保を進めています。また、三菱地所や千代田区などは、帰宅困難者向けにリアルタイムで混雑状況を伝える体制を整えました。

しかし、新たな課題として浮上しているのが、急増する外国人への対応です。東京圏だけで約160万人の在留外国人がおり、都内には年間2500万人近い訪日客が訪れます。言語の壁から、災害時に適切な避難情報が伝わらない恐れがあります。

神田外語学院(東京)では、昨年10月から災害時に外国人を支援する学生ボランティアの育成を開始し、今年2月には秋葉原(千代田区)で避難情報の標識を確認する活動を行いました。参加した香港出身者(30歳)は「多言語での避難案内が不十分だと感じました。大きな地震を経験していない外国人が多いので、不安です」と語っています。

この取り組みを支援した秋葉原のまちづくり会社マネジャー、土方さやかさん(50歳)は「災害時に宿泊先へ戻れず混乱する外国人が相次ぐでしょう。外国人向けの情報発信アプリなどの活用を幅広く呼びかけるべきです」と指摘しています。

東日本大震災から15年を経て、帰宅困難者問題は依然として深刻な課題です。個人の体験から学んだ教訓を活かし、企業や自治体が連携した防災対策の強化が求められています。

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