全国畳屋500店超が結集 被災地に和の安らぎを届けるプロジェクトが新たな段階へ
災害に見舞われた被災地に畳を届け、厳しい避難所生活にほんの少しでも和の安らぎを提供しようというユニークな支援活動が、2026年に大きな節目を迎えている。全国から500店舗を超える畳屋が無償で参加するこの取り組みは、2011年の東日本大震災をきっかけに始まった。防災協定を結ぶ自治体数は、2026年2月に岩手県宮古市との締結により、ついに200の大台に到達した。
「5日で5000枚の約束。」という確かな支援体制
このプロジェクトは「5日で5000枚の約束。」という名称で知られている。災害発生時に要請があれば、5日以内を目標に被災地へ畳を提供することを使命としている。全国47都道府県それぞれで100枚以上の畳を確保できれば、迅速に合計約5千枚を供給できるという計算に基づき、この名前が付けられた。
2013年に本格的に活動を開始して以来、2016年の熊本地震、2024年の能登半島地震など、計12の大規模災害において被災地支援を実施。これまでに合計9676枚の畳を避難所などに届けてきた実績を持つ。
能登半島地震では「畳が来てだんらんができた」と感謝の声
2024年に発生した能登半島地震では、避難所に敷かれた畳に対して「家族でくつろぐ空間ができた」「冷たい床との違いはまったく別物だった」など、被災者から多くの感謝の言葉が寄せられた。被災地の地元畳屋が自治体や避難所のニーズを直接聞き取り、必要とされる枚数を迅速に調達・提供するシステムが確立されている。
活動の継続とともに参加店舗は着実に増加し、現在では全国の畳屋の約1割がこの支援ネットワークに参加している計算だ。地域に根差した伝統産業が、いざという時に全国規模で連携する稀有な事例となっている。
創設者のバトンタッチと次世代への継承
プロジェクトを立ち上げた神戸市の前田敏康さん(55)は、2026年3月をもって長年務めてきた事務局長の職を次世代に譲ることを決断した。前田さんは「日頃から地域社会に支えられていることへの感謝の気持ちから始めた活動です。災害時には全国から畳を受け取り、地元の役に立てればそれで十分」と語り、活動の原点を強調する。
「5日で5000枚の約束。」は2026年2月、岩手県宮古市と新たな防災協定を締結。これにより、避難所への畳提供を約束する自治体の数が記念すべき200件に達した。同プロジェクトの山口正樹・東北地区委員長は「このネットワークがさらに多くの地域の防災力向上に貢献できることを願っています」と述べている。
支援メンバーが能登半島地震の避難所に畳を運び入れる姿は、被災者支援の新たな形を示している。伝統的な畳産業が持つ地域密着性と全国ネットワークを活かしたこの活動は、災害多発時代における互助のモデルとして注目を集めている。
