24歳社員の自死を労災認定 上司の指導が「強い心理的負荷」と東京地裁判断
24歳社員自死を労災認定 上司指導が心理的負荷と判断 (13.04.2026)

24歳社員の自死を労災認定 東京地裁が「強い心理的負荷」判断

2026年4月13日、東京地裁(小原一人裁判長)は東京ガスから子会社に出向していた男性社員(当時24歳)の自死について、労災に当たると判断する画期的な判決を言い渡しました。遺族が求めた労災保険法に基づく遺族補償を不支給とした労働基準監督署の処分を取り消す決定が下され、職場環境が精神疾患に与える影響について司法の厳しい見解が示されました。

職場での疎外感と無力感が蓄積

男性は2018年4月、入社2年目で子会社に出向し、3人体制の部署に配属されました。しかし上司と同僚は多忙を極め、男性は5月下旬ごろまで具体的な仕事を指示されない状況が続きました。この期間、男性は職場で明確な役割を与えられず、疎外感を深めていったとみられます。

判決文によれば、上司は男性が作成した2年目社員報告会の資料について修正を指摘する際、「そんなこと書く?」などと発言。さらに賞与面談では「仕事受け身だよね」「いつまでもお客さまじゃどうかな?」などと述べたことが記録されています。これらの言動は一見すると業務指導のように見えますが、男性にとっては深刻な心理的負担となっていました。

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「明白なパワハラではない」が心理的負荷は認定

東京地裁の判決は、上司の言動について「業務に関連した指導や注意であり、明白なパワハラとはいえない」と認定しました。しかし同時に、これらの言動が男性に与えた影響について詳細な分析を行い、重要な判断を示しています。

裁判所は、男性が職場で強い疎外感や無力感を抱いていた事実を指摘。上司の言動に加え、男性が上司について「怖い」と述べたにもかかわらず、会社が適切な対策を講じなかったことが、精神疾患の発症や自死につながったと判断しました。この「複合的な要因」が「強い心理的負荷」を形成したと認定したのです。

会社の対応不備が決定的要因に

判決が特に重視したのは、会社側の対応の不備でした。男性が上司に対して恐怖感を抱いていることを表明していたにもかかわらず、会社はこれを軽視し、効果的な介入を行わなかったことが明らかになりました。

2018年8月、男性は仕事の悩みを詳細に記した遺書を残して自死。両親はその後、労災保険法に基づく遺族補償を求めましたが、三田労働基準監督署は労災だと認めず、不支給処分としていました。今回の判決はこの行政処分を司法の立場から覆すもので、職場環境が従業員の精神健康に与える影響について新たな基準を示すものとなりました。

労災認定の新たな基準として

この判決は、従来の「パワハラ」認定の枠組みを超えて、より微妙で複合的な職場ストレス要因を労災認定の対象とする可能性を示しました。上司の個々の言動が直接的に「パワハラ」と認定されなくても、それらが累積し、会社の不適切な対応と相まって「強い心理的負荷」を形成する場合、労災認定の対象となり得るという判断です。

労働環境の質が従業員のメンタルヘルスに与える影響について、企業側の責任を明確にしたこの判決は、今後の労災認定基準に大きな影響を与えることが予想されます。職場における心理的安全性の確保が、企業の法的責任としてより強く認識される転換点となる可能性を秘めています。

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