いじめ相談の繰り返しが生む「モンペ」レッテルの苦痛
私立奈良学園中学校でいじめに遭った女性に対して、2020年に当時の教員から送られた手紙が注目を集めている。加害生徒らを恐れて学校に通えなくなった女性に対し、学校側はいじめ対策を強化したと説明し、「戻れる環境は出来ています」と伝える内容だった。この事例は、学校と保護者がどのように向き合うべきかという根本的な問いを投げかけている。
カスハラ対策ガイドラインがもたらす保護者対応の変化
東京都教育委員会は、学校が保護者から受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)を防ぐためのガイドラインをまとめた。その骨子案では「保護者との面談は原則30分まで」、「5回目以降は弁護士が代理人として単独で対応」といった具体的な指針が示されている。この対策は教員の負担軽減を目的としているが、一方で保護者との対話を制限する可能性も指摘されている。
「いちいち告げるのも申し訳ない」という保護者の本音
滋賀県の女性(54)は、十数年前に小学3年生だった娘がいじめに遭った経験を振り返る。娘は同級生から筆記用具をとられたり、虫を目の前に出されたりする嫌がらせを毎日のように受け、「学校に行きたくない」と泣いて訴えるようになった。女性は担任に連絡帳や面談で相談を重ねたが、複数の教員との面談では既に話した内容を繰り返すだけで、具体的な解決策は示されなかった。
女性は「学校に何度も相談するのは、こちらがモンペ(モンスターペアレント)のようで苦痛だった」と語る。いじめ報告書を見た教員から「モンペシナリオができているね」と言われたこともあり、相談すること自体に罪悪感を覚えるようになったという。結局、嫌がらせの標的は別の子に移り、娘は深刻な被害を免れたが、この経験は現在高校教員として働く娘の人生に深い影響を残している。
保護者対応の課題と今後の展望
カスハラ対策ガイドラインの導入は、以下のような課題を浮き彫りにしている:
- 教員の業務負担軽減と保護者の相談権利のバランス
- いじめなどの深刻な問題において、対話制限が解決を遅らせるリスク
- 「モンスターペアレント」というレッテルが、正当な相談を萎縮させる可能性
朝日新聞がSNS企画「#ニュース4U」で募集した読者の声には、同様の体験談が数多く寄せられている。学校と保護者の関係を再構築するためには、相互理解に基づく対話の場が不可欠であることが改めて示されている。教員の多忙さを考慮しつつも、子どもの最善の利益を守るための協力体制が求められている。



