愛媛県立高校元生徒が県を提訴 いじめ調査不十分で約291万円の損害賠償請求
愛媛県立長浜高校(大洲市)の元生徒が、同級生からのいじめについて学校側が十分な調査を行わず、精神的苦痛を受けたとして、愛媛県を相手に約291万円の損害賠償を求める訴訟を松山地裁に提起した。この訴訟は、学校のいじめ対応の在り方を根本から問い直す重要な事例として注目を集めている。
元生徒が語る「無責任で許せない」学校対応
読売新聞の取材に対し、元生徒は学校側の対応について「学校や先生の対応は本当に無責任で許せない」と強い憤りを表明した。さらに、「この裁判を通じて、学校や県はいじめに対する方針をきちんと見直してほしい」と訴え、訴訟の目的が単なる金銭的補償ではなく、制度改善にあることを強調した。
具体的ないじめ行為と学校の不十分な調査
訴状によると、元生徒は2024年9月から2025年3月頃にかけて、以下のような複数のいじめ行為を受けたという。
- 同級生から胸ぐらをつかまれて頭突きをされる
- 体育の授業中にプレーを装って鼻付近を殴られる
- 意図的に席を遠ざけられるなどの行為
これらのいじめの結果、元生徒は適応障害と診断され、登校が困難な状態に陥った。2024年12月には学校側に対し、事実関係の徹底的な調査と転学の実施を求めたが、学校側は加害者とされる生徒への形式的な聴取にとどまり、十分な調査を行わなかったと主張している。
転学までの長期化と第三者調査委員会の設置
学校側は具体的な転学措置を講じず、半年以上が経過した2025年7月になってようやく元生徒は転学を実現した。その後、同年11月に愛媛県教育委員会は、この事案がいじめ防止対策推進法で定める「重大事態」に該当すると認定し、第三者調査委員会を設置した。
母親の「裏切られた」という思い
元生徒の母親は「親は学校を信用して、子どもを預けている立場です」と述べ、学校への基本的な信頼感を示した上で、「学校側がいじめの解決に向けて動きづらいことは理解しているが、今回の一件では裏切られたとしか思えない」と心情を吐露した。この発言は、保護者と学校間の信頼関係の崩壊という深刻な問題を浮き彫りにしている。
県教委の対応と今後の展開
愛媛県教育委員会は「係争中のためコメントは差し控える」としている。この訴訟は、学校現場におけるいじめ対応の実態と、教育行政の責任の所在を明確にする重要な裁判となる見込みだ。全国の学校関係者や保護者の間でも、その判決内容に大きな関心が寄せられている。



